ZARAトップ、好調なのに「突然退任発表」のなぜ 急成長の立役者イスラ氏と創業会長が退任へ
同氏の経歴は、次期CEOに就任するマセイラス氏と似ている。同氏も弁護士の資格を持ち、銀行に勤務していた。イスラ氏もマセイラス氏と同様に入社した当時は流通業界での経験は皆無であった。
ただし、時期の違いがある。イスラ氏が入社した当時のインディテックスはスペインの企業として世界への市場拡大の初期段階であったが、現在のインディテックスは世界随一のファストファッション企業に成長している。普通に考えれば、アパレルの経験を持った人物が率いるのが望ましいはずだが、マセイラス氏、そして、マルタ氏ともにアパレル企業を率いた経験はない。
イスラ氏の退職金も膨大
イスラ氏が入社した当時のインディテックスは直接のライバルであったマンゴーと互角の戦いをしていた。筆者もそれを市場で記憶している。
手元にある11月30日付「エル・ムンド」によると、イスラ氏が入社する4年前の2001年の売上高は26億ユーロで、同社の時価総額は100億ユーロ。世界33カ国に進出し1000店舗を少し超える数であった。
それが現在では96カ国に進出し、店舗数も7倍に増加。売上高は、2019年は280億円、2020年はコロナの影響で200億ユーロに減少したものの、20年で売上高を2倍に伸ばしている。しかも、同社の現在の時価総額は870億ユーロという8倍以上にまで膨れ上がっている。
この20年でアパレルトップに一気に駆け上がったインディテックスはこれからどうなるのか、注視しなければならない。一方、イスラ氏は退社とともにインディテックスの200万株(60億円相当)と退職金などでおよそ8000万ユーロ(96億円)を受け取ることになっている。ここで引退する可能性よりは、どこか別の世界企業から誘いの声がかかるのはほぼ間違いないだろう。
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