「日経平均3万円の再回復」が難しくなってきた 短期的には「売られすぎ」だが反発力は弱い?

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それは、(1)新型コロナウイルスの変異株流行という悪材料からリスク資産が短期的に売られすぎた、(2)来年本格的に生じると見込んでいた中期的な株価下落基調が想定以上に早く始まった、という2つの流れである。

(1)からは、株価は目先反発すると考えられる。しかし(2)からは、すでに来年の下落へ向かっていると解釈できる。その2つを合わせて検討すれば、代表的な指標である日経平均は目先戻りがありうるが、その戻りはますます小さなものになったということなのだろう。3万円台の再回復については、悲観的にならざるをえない。

短期的には「売られすぎ」の状態

その2つの同時進行している動きのうち、まず短期的に売られすぎだという点を述べよう。

世界株安のきっかけとなったのは、日本時間11月26日朝に伝えられた、南アフリカで新型コロナウイルス変異株(オミクロン株)の感染が広がっている、との報道だ。オミクロン株には「従来の新型コロナウイルスに比べて多くの変異箇所がある」と明らかにされたため、市場での不安感が膨らんだ。

しかし、変異が多いことが具体的に脅威になるかはわからない。「感染力が高まっている」との観測が唱えられており、実際にアフリカ以外の諸国でも市中感染の例が報告されている。

これに関して、南アフリカ医師会は「オミクロン株の感染者は軽症で、医療資源を圧迫していない」と述べている。またWHO(世界保健機関)は、今のところオミクロン株への感染で死者の報告はない、と公表した。

つまり、最近の市場では「オミクロン株の登場が大変なことなのかそうでないのかはまったくわからないが、不安だからとりあえず株式は売っておこう」という反応が大勢だったと推察される。

また、株価急落が始まった時期は、アメリカなどで11月25日の感謝祭による株式取引などの休場があり、売買高が薄くなりがちなタイミングであった。そこに売り物が出て、大きく株価が下振れし、それがさらなる売りを招いた、といった面もあっただろう。予断は禁物だが、先週の後半にはやや株価下げ止まりの様相も表れてきたようにも思われる。

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