チケットストリート、二次流通拡大への挑戦

激闘C2C市場最前線を追う<2>

最後にチケットストリートの今後の展開を予測しよう。2014年8月に米国のオークション最大手eBayおよび同社子会社でありチケット二次流通の大手であるStubhub(以下スタブハブと表記)と資本業務提携を行い、グリーベンチャーズからの出資金を合わせて合計3億円を調達している。この資本業務提携を同社では「メジャーリーグ級の」資本業務提携と呼んでいるようだ。

「スタブハブと日本地区における独占販売パートナー契約を結び、2014年9月末から販売を開始します。既に米国のスタブハブでも日本向けの売り上げはそれなりにあるようですが、今後日本語化して決済手段も多様化し、日本人が米国のチケットを購入しやすいサービスを展開していきます」

海外チケットの販売拡大が目標

スタブハブとの独占販売契約では、MLBやNBAなどの人気スポーツをはじめ、公認・非公認を問わずスタブハブが取り扱うほぼ全ての興行チケットを、日本から購入可能になるという。海外旅行でスポーツ観戦をしたい場合などに利便性を感じるユーザーが増えていくだろう。独占販売契約という点は国内の他のプレイヤーとの差別化要素となることから、チケットストリートにおける海外チケット販売比率の上昇が見込まれる。

「スタブハブとの提携による海外取引の拡大を突破口に、事業を急成長させたいと考えています」

西山氏はチケットストリートの2015年年間流通総額目標を50億円と定め、今後はオンライン広告以外のユーザー獲得手法も模索したいという。チケットの二次流通市場の認知をどう上げていき、その中でいかにプレゼンスを高めていくか。

筆者も価格が釣り上がり、かつ取引が面倒なオークションのような手段ではなく、健全な二次流通市場で適正な価格でチケットを購入し、ミスチルのライブなどに足を運びたいと思う。

【梅木雄平のスタートアップチェック】
●経営陣:4.3 今年40歳になる西山氏はインターネット業界歴が相当長く、業界では良く知られている。eBay子会社のStubHubとの資本業務提携を決めてくるあたり、20代のスタートアップ起業家にはできない大人技の知見があり、手堅くEXITを実現しそうな気配が漂う。
●市場性:3.9 チケット二次流通市場は2014年時点で約300億円と決して大きくはない。だが、海外と比較した際にチケット一次流通市場に対する割合の差があり、上昇余地は残されており、今後3年くらいかけて市場が倍以上に拡大する可能性がある。米国スタブハブとの連携も考えて、海外も見据え成長余地に期待。  
●利益率:3.6 現状は成約時に販売者から成約金額の8%、購買者から3%の手数料。マッチングビジネスのため、多少手数料率が上がったとしても流通総額に対する利益率は高くない。 
●競合優位性:3.8 国内においてはヤフオクとチケット流通センターが既存市場の二強であり、そこにどう割って入るかという勝負になる。今後スタブハブとの連携により同社が取り扱う米国メジャーリーグなどの興行チケットの取り扱いが可能となり、その点は優位性があるが、国内チケットにおいては既存事業者との差別化要因は見つけられなかった。
●海外展開力:4.2 2014年8月に実施した資金調達は米国eBayおよび同社子会社のスタブハブと GREE Venturesという米国日本両方のVCから出資を受けている。スタブハブは米国におけるチケット二次流通の大手であり、強力なアライアンスパートナーとなるだろう。こうした案件を決めていることから、国内スタートアップにしては希有な海外展開力を有する。 
●総合点 :4.0 西山氏の手練な経営力により手堅いEXITは可能。ただ、ヤフオクやチケット流通センターといった先行者も強く、単独上場できるほどのスケールにはならないと判断。事業数値がついてくれば事業として欲しがる大手企業はあり、事業売却になると予測する。 
●予想EXIT:2016年頃eBayに売却
●EXIT時推定時価総額:80億円
推定根拠:取材時点は月次流通総額が1億円台とのことから、2014年年間流通総額は約10億円前後と思われる。2015年年間流通総額目標を50億円と同社は据えている。市場の成長性も鑑みて、2016年年間流通総額が80億円程度まで伸びたと仮定し、手数料10%換算で売り上げは約8億円。構造上は広告に投下し過ぎなければ、高い利益率を確保できる。営業利益率50%経常利益4億円程度で純利益2.5億円、PER30倍程度と仮定。既に資本関係にあるeBayか国内ではYahoo!、楽天あたりが買い手の候補となると予測。

 (撮影:梅谷秀司)

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