感性豊かな子供を育てるには? 自分よりも不幸な人々に関心をもたせよう

✎ 1〜 ✎ 71 ✎ 72 ✎ 73 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

私はこの記事で涙が止まらなかったのは、子供だけでもと英国に送り出すときのユダヤ人の親たちの別れるときの言葉です。ある親は片言の英語を教えます。「おなかがすきました。パンを一切れいただけますか」。ある親は10歳の姉に7歳の弟を託し、一片の紙を持たせます。「私たちは姉弟です。別にしないでください」。

この10歳の少女はホストファミリーに、台所に立たない母親のことを「料理が上手」、庭をいじったこともない父親を庭師に、と懸命に売り込むことで英国に呼び寄せてもらい、危機一髪で両親の命を救っています。幸運が重なった結果とはいえ、やはり知恵だけではホストファミリーを動かせなかったのではないでしょうか。とても感性豊かな少女だと思いました。

そして庭師になった父親は終生、英国国歌が流れると必ず起立し、背筋を伸ばして口ずさみ、英国への感謝を忘れなかったそうです。命を救ってくれた国ですから感謝するのは当然なのですが、誰もがこのように態度で表明し続けられるものではありません。この父親もとても心が豊かな人だとお見受けしました。

子供の感性が貧しいのは親のせい?

これも昔、何かで読んだ受け売りですが、「飛行機が墜落して200人くらいが死んでも『またか』程度でさほど驚かなくなった人でも、そこに知っている芸能人が一人でも含まれておればやっと驚く人がいるのはいかがなものか」。親の想像力の貧しさや感情表現の貧しさが子供の教育に及ぼす影響について書かれたものでした。

西原様、豊かな感受性を持った子供の育て方なんて、私が教えて欲しいくらいのテーマでして、そして私もやはり貴女のように、同じように育てたのに、どうしてこんなにも感性が違うのかしらと思うこともしばしばですので大きなことは申し上げられませんし、親のあり方や教育だけがすべてではなさそうです。とはいえ、アッテンポロー監督の15歳の時の体験のように、それは時に決定的な要素にもなり得るようです。

やはり毎日の積み重ねで、小さなことにも根気よく、親の方から感謝の気持ちを言葉や態度で表わしていくことも大切ですが、親が広い視野に立ち、自分たちよりも弱い立場の人たちのことを、さまざまな方法で知るような機会を作ることも大切ではないでしょうか。

何もかもが生まれた時から目の前にあって、言葉で「これは感謝すべきことなのよ」と伝えても、恩着せがましいとしか受け取れない年代なのです。

次ページミュージカルで学べることとは?
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事