京急、浦賀駅の電車内を「野菜売り場」にした狙い 横須賀市と連携、「本線の終点」観光誘致に本腰
横須賀市は現在、観光施策「よこすかルートミュージアム」に注力している。市内に点在する幕末の開国から近代までの歴史的なスポットなどをルートで結び、1つのミュージアムとして売り込む戦略だ。とくに市中心部から浦賀・観音崎エリアへの二次交通整備は「MEGURU PROJECT」と呼び、観光庁の補助事業「既存観光拠点再生・高付加価値化推進事業」を活用した。
浦賀エリアでは、住友重機械工業から市に無償で寄付されたれんが造りの「浦賀ドック」や、東京湾要塞の1つである千代ヶ崎砲台跡が土日・祝日に見学できるようになり、観光に追い風が吹いている。
関連イベントも多く、浦賀・開国駅マルシェは、同日の「咸臨丸クルーズ」に合わせて開催した。京急の担当者、営業企画課の飯島学さんは「浦賀駅の乗降も少なくなりつつある。地元の野菜を売ることで住んでいる人たちにも活気があるところを見てもらいたい」と狙いを説明する。そのうえで「これまでの沿線の観光は三崎、葉山、横須賀(中央)。浦賀に焦点を当てることはやってこなかったので、人が来る仕掛けをきちんとしていかなくてはいけない」と語る。
伸びしろ大きい「よこすか」きっぷ
1号車で地元の農産物を販売したほか、各号車に地元商店街や京急グループが出店した。“売り場”となった車両は「よこすかルートミュージアム号」。10月11日に運行を開始したラッピングトレインで、新1000形車両を使用。先頭部に大きく三浦半島を描き、ルートミュージアムの各拠点を側面にデザインした。車内でも横須賀の見どころを紹介する掲示をしており、2022年1月30日まで運行する予定だ。
同社は、沿線の三浦、横須賀、葉山の各エリアで企画乗車券「みさきまぐろきっぷ」「よこすか満喫きっぷ」「葉山女子旅きっぷ」を展開している。
横須賀エリアは2010年に発売した「よこすかグルメきっぷ」が2017年にリニューアルして現在の名称になった。電車とバスの乗車券に、ご当地グルメのヨコスカネイビーバーガーや海軍カレーの「食べる券」、記念艦「三笠」、横須賀美術館などで使える「遊ぶ券」がセットになっている。
「3兄妹きっぷ」のうち、葉山女子旅きっぷは2015年に販売を開始して以降急成長し、新型コロナウイルス感染拡大の影響が本格化する前の2019年度には8万3202枚を記録した。同年度、みさきまぐろきっぷは19万2043枚。よこすか満喫きっぷは2万9044枚で過去最多だったが、まだまだ成長できる余地が大きい。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら