「PTAに文句あるなら役員にまずなれ」論の問題点 PTA未加入者が改革や適正化を求める具体的方法

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もしそれでも改善がない場合は、学校ではなく、PTAの側の個人情報の取り扱いの問題に踏み込むしかないでしょう。そのときは、個人情報保護委員会(PPC)という行政機関に相談することも可能です。相談の際は、PTAは学校と別の団体であることを最初に伝えておきましょう(ときどき知らない方がいます)。

なお、教育委員会等に「校長先生に対して、個人情報を適切に扱うよう指導してほしい」と相談すると、「任意の団体であるPTAに対して、行政は指導できない」と言われることが多々あります。PTAではなく「校長先生に指導してほしい」、とこちらは言っているのですが……。この回答には、筆者も納得しかねるところです。

「おかしい」と感じたときにできること

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入学前の保護者や、一般会員や非会員の立場からPTAの改革・適正化を促す方法として、筆者が思いつくのは、ひとまずこんなところです。なお、ここでは保護者のことしかふれませんでしたが、教職員の人たちも、可能であればぜひ声をあげてもらえたらと思います。「PTAに入りません」「退会します」と言ったって、もちろんよいのです。

ときどき「PTAを変えたいなら、役員になって自分で変えろ」という声を聞きますが、誰もが役員になれるわけではありませんし、誰もがそこに時間や労力を費やせるわけでもありません。「政治に不満があるなら、議員になって自分で変えろ」と言われたら、「いや、そこまではちょっと」と困惑する人が多いと思いますが、それと同様でしょう。

もちろん、これまでPTAが長年引き継いできたやり方について、今の役員さんたちを責めるべきではありませんが、少なくとも「おかしい」と感じたときに声をあげることは、むしろすべての人に求められる責務のようなものではないかと思います。

「おかしい」と思いながらも黙って従えば、そのやり方を認めることになります。「おかしい」と感じたことを「おかしい」と言えることが、PTAが変わるための、最初の一歩になるはずです。

大塚 玲子 ノンフィクションライター

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おおつか れいこ / Reiko Otsuka

主なテーマは「いろんな形の家族」と「PTA(学校と保護者)」。著書は当連載「おとなたちには、わからない。」を元にまとめた『ルポ 定形外家族』(SB新書)のほか、『さよなら、理不尽PTA!』(辰巳出版)『オトナ婚です、わたしたち』(太郎次郎社エディタス)『PTAをけっこうラクにたのしくする本』(同)など。テレビ、ラジオ出演、講演多数。HP

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