ところが、日本脂質栄養学会はそうした説を全面的に否定。いくつかの疫学調査から、「特に40歳以上は総コレステロール値が高いほうががん死亡率、総死亡率が低く、低下医療は勧められない」という結論を導き出したという。
これに対し、日本動脈硬化学会は反論の声明を発表。「根拠としている論文が研究者の精査を経ておらず、科学性が担保されていない」「科学的根拠がなく、必要な患者の治療を否定するもので容認できない」とした。
続いて、日本医師会の原中勝征会長(当時)と日本医学会の高久史麿会長も記者会見を開き、日本動脈硬化学会の見解を支持する形で「このガイドラインは問題も多い」(原中会長)、「今回のガイドラインは明らかに間違いであると指摘したい」(高久会長)などと否定した。
日本脂質栄養学会の調査結果に弱みがあったのは確かのようだ。同学会が解析した論文は査読(専門家による査定。一流学術誌に掲載される論文は必ず査読の手続きがとられる)のされていないものが中心でエビデンスレベルは低かった。
また、観察研究で「コレステロール値が低い人の死亡率が高い」ことが見えても、介入試験によって「コレステロール値を上昇させた患者の死亡率が低下する」ことを立証しなければ論拠は成り立たない。こうした指摘に日本脂質栄養学会は再び反論を出したが、その時点ではもはやそれを報道するメディアも少なくなっていた。
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