漁獲枠「半減」では不十分、マグロが消える日

太平洋クロマグロの資源量は過去最低レベル

世界的な資源量の落ち込みは、“獲りすぎ”によるところが大きい。水産庁によれば、太平洋クロマグロの漁獲の約4割を日本が占める(12年)。メキシコ、韓国も漁獲しているが、「その大半は日本に輸出されている」(WWFジャパン・水産担当の植松周平氏)。

クロマグロは3歳で約40キログラムに成長し、産卵できる状態になる。ところが、水揚げされる太平洋クロマグロのうち、約98%は3歳未満の未成魚だ(01~10年平均)。しかも、巻き網などで獲られた小型の未成魚は、網の中でこすれ合って劣化することもあり、一般的に大型魚に比べて単価が低い。それをカバーしようと、漁業者は先を争って多くの魚を獲るため、濫獲に拍車がかかっている。

新たな規制の枠組みに疑問

こうした動きに歯止めをかけようと設けられた、漁獲量の管理方針に対し、疑問の声が上がっている。ある水産庁OBは、「そもそも削減の基準にした02年から04年は、巻き網漁で漁獲量が急増した時期。ここから半減させたところで、資源保護につながるのか」と語る。実際、資源量の減少もあり、日本の未成魚の漁獲量は3815トン(12年)。漁獲枠は4007トンなので、これでは「もっと獲ってもよい」と言っているようなもの。

また新たに沿岸漁業向けに適用する規制では、全国を6ブロックに分け、それぞれに漁獲上限を設定する。上限に近づけば、水産庁が注意報や警報を発出する方針だ。これに対し、「ブロックに分ければ、結局はその中で早獲り競争になる」「警報や注意報が出たら、ほかに獲られる前にもっと獲ろうと思う」と、漁業者らの評判は芳しくない。

資源管理に詳しい三重大学の勝川俊雄准教授は、「早獲り競争で漁期の最初に獲りすぎてしまい、後はまともな漁獲がない事態になりかねない。地区ごとの漁協など、より小さな単位に漁獲枠を細分化して、競争を抑えるべき」と指摘する。クロマグロ漁は地域で漁期や漁法が異なることがある。1ブロックが広域になるとライバルが増え、競争を助長するおそれがある。

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