岸田内閣は財政健全化目標を先送りするのか コロナ禍でも好調な税収が意味すること

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この検証には、内閣府の「中長期の経済財政に関する試算」(以下、中長期試算)を基にするものと見込まれる。そこで、最新版である今年7月の中長期試算では、国と地方のPBは、2020年代前半の名目経済成長率が3.5%超となる成長実現ケースでは、2025年度に2.9兆円の赤字、2027年度に1.8兆円の黒字となる見通しが示されている。他方、2020年代前半の名目経済成長率が2%前後となるベースラインケースでは、2025年度に7.9兆円の赤字、2027年度に6.2兆円の赤字となる見通しだ。

低めの成長率ではPB黒字は実現できない?

この試算では、成長実現ケースで、2025年度までに3兆円近くの収支改善が図られれば、2025年度のPB黒字化達成は可能といえる。しかし、成長実現ケースのような高い成長率を実現できるのか、疑義を呈する向きは多い。そうなると、成長率が低いベースラインケースでは、2027年度になってもPBは黒字化しないから、成長率が低くなれば、PB黒字化は実現できない、ともいえる。

これまで、PB黒字化の目標達成に向けた議論では、高い経済成長が実現できれば目標を達成できるのだから、「経済再生なくして財政健全化なし」とする向きがあった。経済成長によって増税せずとも税収が増えて財政収支が改善することへの期待が見え隠れしていた。

しかし、それで高成長が実現できればよいが、現にわが国の経済成長率は低迷しており、経済成長に伴う税収増は捕らぬ狸の皮算用に堕していた。

やはり、経済成長や税収については保守的な見通しの下で、財政健全化目標が達成できるか否かを検討する必要がある。

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