ケニアで起業「肩書き嫁」手放した34歳女性の半生 なぜ彼女はアパレルブランドを立ち上げたのか

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新しい商品を作るたび、河野さんたちは身につけた写真をSNSに投稿。時にはリアルタイムのライブ映像を発信し、商品の魅力を伝える。アフリカ布のカラフルさやデザインの斬新さはもちろんだが、等身大で自然に着こなし、笑顔あふれる河野さんたちを見て「元気になれる」、「自分も着てみたい」などのコメントが相次いだ。

お客さんとの双方向のやりとりは、スタッフのやる気も刺激する。「本当にSNSがあってこそ。なかったら私たちのビジネスは成り立たなかった」。もはや「ラハ ケニア」は河野さん1人ではなく、みんなのブランドへと成長した。

小さなブランドだからできること

今年10月末、初めての試みとして、30種類もの巻きスカートを1~2点ずつ制作し、販売した。きっかけはある日、長くお付き合いのあるお客さんから、ロングスカートを買ったもののウエストが細すぎて着られなかった、とダイレクトメールをもらったこと。

アフリカ布の洋服を着て自信を持ってもらうはずが、逆に自信を失わせてしまっていた。「これはなんてことだ」。社員と緊急会議をした結果、次はどのような体型の人でも無理なく着られる巻きスカートを商品化しようと決めた。

社員になってくれた2人の女性と共にケニアで奮闘する河野さん(中央)。明るい表情で商品を着こなす様子をSNSにアップするたび、多くの人が「いいね」する(写真提供:ラハ ケニア)

巻きスカートの販売直前、社員2人がケニアからインスタライブで着方や着こなし方を伝えた。自分の好きな色や柄で商品を選ぶ楽しさ、そしてほぼすべてが1点ものであるという宝物感。ライブを視聴していた人たちは欲しい商品のイメージを固め、販売開始とともにこぞってお気に入りをカートに入れた。SNSでの反応がさらに購買意欲を刺激し、ほぼ1日で全商品が完売した。

今秋、商品化した巻きスカートは個性豊かなアフリカ布で30種類を用意した。ほとんどが1点もので、1日ほどで完売した(写真提供:ラハ ケニア)

この経験などから、お客さんの声をキャッチアップし、少量ずつ作って売れば、その商品を必要とする人を幸せにできる、と確信した。

小さなブランドだからこそ、思い立ったらスピーディーに動けるのが強みになる。「長きにわたって応援し、リピーターになってくれるお客さんが多いからこそ、飽きられないよう新しい挑戦を見せていかなければ」。ブランドの目指す方向性が固まりつつある。

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