オートバックス「ゴードンミラー」躍進の理由 独自ブランドの第1号直営店と今後の成長戦略

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オートバックスセブン執行役員マーケティング担当の小曽根 憲氏(筆者撮影)

小曽根氏は、ライフスタイルの中でも、クルマと関連性が高いガレージライフに着目し、3つのコンセプトを設定した。「1つ目は、ガレージの中で楽しいときを過ごす。2つ目は、ガレージからお気に入りのクルマで出かける。3つ目は出先、キャンプなどに出かけ自然を満喫する」。これら3要素をループさせるような用品や服、クルマなど幅広いアイテムを販売することで、「ガレージを起点としたライフスタイル」を提案するブランドとすることを発案。社内で了承され、2017年からプロジェクトがスタートした。

ちなみにゴードンミラーというブランド名は造語だ。「デザイナーで創業者の名前を使うなど、人名を使った有名ブランドは海外に多く、そういった世界観を出すために選んだ。濁音を入れることで、強く印象に残るイメージも出せたと思う」という。

ゴードンミラーの販売形態

ゴードンミラーのアイテム(筆者撮影)

ブランドの販路は、最初に「全国のオートバックス店舗の中から参加希望店を募り、棚の提供から行った」という。開始から徐々に取扱店は増え、現在は約600ある全国の店舗のほとんどで、なんらかの形で販売されている。扱う棚数は、基本的に各店舗の希望を優先し自由とした。

そのため、店舗によって販売するアイテム数や売り場面積は異なる。当然ながら、棚数が多い店舗のほうが売上額も高くなるが、面白いことに棚数が多いほうが1棚あたりの売上効率も高いことがわかった。そこで、棚数をある程度まとめ、効果的に売れるパッケージを用意し、それらを取り扱う特別店「GAD(ゴードンミラー・オーソライズド・ディーラー)」を設定。子会社やフランチャイズ店などから希望を募り、現在19店舗で展開する。

さらに同社がゴードンミラーと同時に立ち上げたアパレル系セレクトショップ「ジャックアンドマリー」のECサイトでも販売。ほかにもZOZOタウン、PayPayモール、アマゾンなどでもネット販売を行う。コロナ禍によるネット販売の売上上昇は同ブランドも同様で、「全体の構成比はまだ低いが、近年で売上の伸び率が最も高い販路」になったという。

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