開戦の日に読みたい「戦時下東京の絶望的な日常」 驚愕!「80年近く前の日記が今の日本と酷似」

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自国の強みは過大評価し弱みは無視、敵国の弱みは過大評価し強みを過小評価して勝てるはずがない。だが今日の日本でも、こちらの強みと相手の弱みばかりに注目した議論が目立つ。

国民に我慢を強いるが最悪への備えは薄い

強大な権力といえ誰も民意に背かれたら崩れる。それを皮膚感覚で知っているのが独裁者だ。だから民意に迎合する反面、自分に反対する言論には、早いうちからその芽を摘む努力を惜しまない。民意が議論に誘導されることを恐れるからだ。

戦時中、政府の言論統制は執拗を極め、当時の代表的な雑誌も廃刊に追い込まれた。

昭和十九年七月十二日(水)
『中央公論』『改造』の廃刊に対し、『朝日新聞』の筆欄「神風賦」だけが、おっかな、びっくりでちょっと書いている。「この雑誌の過去の経歴からいって、今日存続を許されぬという論も立ち得る」といった調子だ。ただ最後に「自分たちだけが言論報国、愛国的文筆家の免許を持つものの如く振舞い、他を一切封ずる如きことは言論本来の趣旨に反する」と言っている。これは『中央公論』などの廃刊が、言論報国会などの執拗なる運動の結果と諷したものでもあろう。
『中央公論』と『改造』、とにもかくにも日本の思想界をリードして来た雑誌は葬る辞もなくして逝った。

このようなことは戦時下のことで、今の日本にはないと言い切れるだろうか。

日本はいつも国民には我慢を強いるが解決すべき問題に対しては、最善を尽くすと言うばかりで最悪への備えが薄い。新型コロナ対策も国民の自粛ばかりが目についた。

温暖化対策でも同じようなものだ。気温上昇は「命の水」の問題でもある。海面上昇のみならず、最悪の場合、水を巡る紛争を世界中に起こす懸念もある。

地震の脅威も迫っている。首都直下地震はいつ起きても不思議ではなく、南海トラフ地震も同様だが、言うまでもなく地震と火山活動には強い関連がある。大地震が火山活動を誘発し、大噴火での噴煙の影響で地球全体が寒冷化したとの記録を歴史が語っている。

世界が脱炭素に向かったとしても、地球内部の活動によっても気温は大きく変動する。けっして安泰ではないのだ。

しかし、こうした暗い未来ばかりでは若者は対応に窮することになる。だから、80年目の開戦の日にあえて言う。

最悪な未来に備えるためにも基本は平和だ。戦争に近づくことさえ除けば、見通しのつかないことがあるとしても、熟慮・決断・行動に移すべきである。ただ戦争にだけは近づいてはいけない。

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