潰し、棚ぼた、リベンジ。安倍内閣改造の暗闘 浮かんだ女性だけでなく、沈んだ女性も

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リベンジを果たした、との思いに浸っているとみられるのが、法務相に抜擢された松島みどり氏だ。

東大を卒業した後、朝日新聞の経済記者として活躍した松島氏は、自民党が初めて行った新人公募に1番で合格している。2000年の衆院選で東京ブロックから当選した後、当時首相だった森喜朗氏の清和政策研究会に入会。イメージカラーの真っ赤なジャケット姿は大いに目立つ存在だった。

ところがそんな松島氏に強力なライバルが現れた。2004年12月、小池ゆり子氏が自民党に入党し、清和政策研究会に入会したのだ。

同会の秘書は当時の様子をこう証言する。「派閥の総会でカメラが入る時、一番目立つところにいたのが松島氏だった。でも小池氏が入会した後は、先に小池氏にその場所をとられて、すっかり影が薄くなっていた」。

安倍内閣下で冷遇される小池百合子氏

ライバルの小池氏はその後、環境相、防衛相、総務会長などを歴任した。順調にキャリアを重ねるとともに、2008年には佐藤ゆかり氏、猪口邦子氏とともに「東京女子大作戦」(TPL)を結成。同年9月には総裁選にも出馬している。

問題はTPLになぜか松島氏だけが外されていた点だ。TPLの3名はいずれも東京を地盤とする自民党所属の女性議員だったが、その要件を満たす松島氏はなぜか参加させてもらえなかった。

新閣僚が認証式を終えた後、官邸での記念撮影に臨む第二次安倍改造内閣(写真:アフロ)

しかし今や、小池氏は安倍首相にすっかり冷遇されている。7月10日には存在感を発揮すべく、「無電柱化民間プロジェクト」実行委員会を発足させたが、見事に安倍首相に無視された。

皇居での新閣僚の認証式を終えた後、赤いじゅうたんが敷き詰められた官邸の階段で、第二次安倍改造内閣の組閣記念写真が撮影された。

最前列で高市氏と小渕氏が安倍首相の脇を固めるように立ち、その後ろで赤いフォーマルジャケットを羽織った松島氏、そして山谷氏と有村氏は落ち着いた和服姿で安倍首相をしっかりと囲んでいる。2列目でやや複雑な微笑みを見せていたのは、地方創生担当の石破氏だ。

各自のさまざまな思惑を含みながらスタートした第二次安倍改造内閣。これからの大波をどう乗り切っていくのかが注目される。

安積 明子 ジャーナリスト

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あづみ あきこ / Akiko Azumi

兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1994年国会議員政策担当秘書資格試験合格。参院議員の政策担当秘書として勤務の後、各媒体でコラムを執筆し、テレビ・ラジオで政治についても解説。取材の対象は自公から共産党まで幅広く、フリーランスにも開放されている金曜日午後の官房長官会見には必ず参加する。2016年に『野党共闘(泣)。』、2017年12月には『"小池"にはまって、さあ大変!「希望の党」の凋落と突然の代表辞任』(以上ワニブックスPLUS新書)を上梓。

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