潰し、棚ぼた、リベンジ。安倍内閣改造の暗闘 浮かんだ女性だけでなく、沈んだ女性も

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一方でこの度の内閣改造は、「女性の活用」が話題になった。5人の女性を大臣に登用するのは、2001年の第一次小泉内閣に並ぶものだ。

山谷えり子氏の国家公安委員長兼拉致問題等担当相就任は規定路線だ。山谷氏は安倍首相に極めて近く、8月18日には安倍首相の母の洋子氏と共にモンゴルを訪問している。第一次安倍内閣では教育再生担当の総理補佐官に任じられ、「お友達人事」と揶揄されたこともある。だが山谷氏は党内では北朝鮮による拉致問題対策本部委員長、拉致議連では副会長を務めるなど、ずっと拉致問題に携わってきた。秋には北朝鮮から調査リストが提出され、何かしらの動きがあると見られている。山谷氏は「拉致担当相の最適任者」と言われている。

山谷氏と同じく、高市早苗氏も安倍首相に極めて近い。「安倍さんを是非とも首相にしたい。そのためには町村派(清和政策研究会)にいては、どうしても町村さんに投票しなくてはいけなくなる」と同派閥を辞めたほどだ。

そんな高市氏と小渕優子氏がそれぞれ、総務相と経産相に任命されたことはサプライズといえるだろう。ただし人選ではなくそのポストにおいてである。

高市氏は経済に明るいが、郵政や消防などにはほとんど無縁だった。小渕氏にしても亡父・恵三氏が郵政族で有名だったが、本人が経済に詳しいとは聞いたことはない。

「棚ぼた」を得た有村氏

これについて、官邸関係者はこう解説する。「当初は高市氏が経産相で、小渕氏が総務相になる予定だった。ところが高市氏は政調会長時代に放射能発言で朝日新聞に挙げ足をとられたことがある。また夫の山本拓氏は福井県を地盤とし、原発推進者として知られている。経産相は原発関連の仕事が多いから、いろいろと軋轢があったら気の毒だということで、小渕氏とポストを替えられた」。

有村治子氏の入閣はまさに大抜擢だ。当初参院からは、橋本聖子氏が有力視されていたが、週刊文春が高橋大輔選手にキスを強要する写真を報じたために失墜。脇雅史参院幹事長も入閣を断ったため、有村氏が「棚ぼた」を得たわけである。

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