爪に愛!推し文字ネイルに見るオタ活市場の凄み 好きをテーマに事業化「フェリシモの部活」とは

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ここで一旦、「オタク活動推進部(オタ活部)」について説明したい。オタ活部は、部活動を推進するフェリシモの社内制度「フェリシモ部活」を利用して2019年11月に発足した。

部活と聞くと福利厚生の企業内部活をイメージするが、「フェリシモ部活」はそうではない。社員が通常携わっている主業務に関係なく、「好き」をテーマに事業化を目指して取り組める。

部活を立ち上げるためには、発起人が部長となって部員を集め、事務局に申請する必要がある。そこで認められると「フェリシモ部活」として活動できるのだ。

14の部活が活動中!

2010年に導入されたこの社内制度を利用して、現在は14の部活が活動中。「フェリシモ猫部」「おてらぶ」「ミュージアム部」「魔法部」などが有名だ。部活動は基本的に週に1回、水曜日の午前中に集まって活動している。全社員の約3割が何らかの形で部活動に関わっているという。

オタ活部の発起人は、部長の山川さんだ。自身が”オタ活”をする中で、「推しがいる人たちの熱量や愛の凄さ」を普段から感じていたという。この人たちがもっとオタ活を楽しめるコンテンツや商品を生み出せないか――。彼女の中で情熱が芽生え、部活の立ち上げを決意する。

「オタ活の市場はすごく大きいと思ったし、2年前はそこに特化してやっているというところも全然なかったので。とにかく好きで集まって、それが最終的に事業として成り立っていけば、とても面白いかなと思いました」(山川さん)

普段から互いの推しについて話していた皆川さんも、山川さんの情熱を受けてオタ活部に参加。現在は彼女たちを含む5人の部員で活動している。

「OSYAIRO(おしゃいろ)」は現在、販売総額や販売数が順調に増えているという。山川さんは「パッションのままに商品を作っています」と話す(筆者撮影)

オタ活部では、部長の山川さんが商品化の判断を行っている。会社の上層部との調整も彼女が担っているのだ。

頼れる部長には、こんなエピソードがある。観劇好きの部員が遠征用のバッグとして企画した「トラベルボストンバッグ」。コロナ禍の2020年10月に発売したこの商品は当初、社内で発売延期を検討する声があがった。

「コロナで外出ができなくなり、観劇もライブなくなって、遠征する必要がない時期だったんです。会社からは『いま出さなくてもいいんじゃない?』みたいな話もあったりして」(山川さん)

しかし山川さんは、発売時期は関係ないと考えていた。それはなぜか?

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