今さら人に聞けない「NISA」トコトン知る超基本 初めの資産運用はNISA活用で経験を積むといい

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資産運用、または投資というと一攫千金のようなギャンブルというネガティブなイメージを持つ人もいまだに多いが、本稿で触れるのはあくまで老後などの将来に備えて行う資産運用のこと。誤解を避けるために資産形成という表現を使ったほうがいいのかもしれない。

資産形成はあくまで収入の中から生活に必要な支出をしたあとに残るお金のうち、一部は貯蓄し、残ったお金を投資するといった程度の話であり、決して大きなリスクをとって短期間で大金を稼ごうという話ではない。

資産形成は3つのキホンを大切に

いざ資産形成を始めようとすると、何から学べばいいかわからないという声もよく聞くが、そういう人こそ「つみたてNISA」を活用して一歩目を踏み出せばいいと考える。

資産形成には3つのキホンがある。1つ目は長期投資。つまり、短期で儲けたとか損をしたという話ではなく、10年、20年という長期目線で複利効果を効かせて投資をするのだ。つみたてNISAを活用すると非課税で保有できる期間は20年間だから、まさにちょうどいいだろう。

2つ目は分散投資。例えば1つの企業の株式に全額投資するのではなく、複数の企業の株式、または債券や不動産などさまざまな資産、そして日本だけでなく欧米や新興国などさまざまな地域に分散投資することでリスクも分散するということだ。

そして3つ目は底で買って天井で売るといった、タイミングを計って投資をするのではなく、毎月定額で淡々と積み立てるということだ。

つみたてNISAは投資可能な商品が限定されていると否定的な印象を持つ人も見るが、3500社以上の上場企業や2000本以上ある投資信託の中から手数料や業績などさまざまな条件を見極めて投資対象を選ぶ作業量が圧倒的に削減されるのだから投資未経験者や初心者にはむしろメリットであろう。

NISAについていろいろと書いてきたが、NISA口座を活用したうえで、一般の証券口座で投資することも可能なので、まずはつみたてNISAを活用して投資を覚え、知識や経験を積む一方で資金的な余裕も出てくれば、その資金を株式投資に充てるというような方法を実践してもいい。

投資をするというと書籍やネット上の情報を読んで知識を増やそうとする人も多いが、筆者は実践こそが最高の学習であると考える。月1000円でもいいのでとにかく初めの一歩を踏み出すことが重要であるとアドバイスをしたい。

森永 康平 マネネCEO/経済アナリスト

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もりなが こうへい / Kohei Morinaga

証券会社や運用会社にてアナリスト、エコノミストとしてリサーチ業務に従事した後、複数金融機関にて外国株式事業やラップ運用事業を立ち上げる。業務範囲は海外に広がり、インドネシア、台湾、マレーシアなどアジア各国にて新規事業の立ち上げや法人設立を経験し、各法人のCEOおよび取締役を歴任。現在は法律事務所の顧問や、複数のベンチャー企業のCFOも兼任している。日本証券アナリスト協会検定会員。株式会社マネネTwitter

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