日本人がトイレを流すのに使う「驚きの水の量」 毎日使っているのに実は知らないトイレの真実

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ちなみに水洗トイレの歴史は古い。現在のイラク東部の遺跡から、いまから4200年前ごろのものとされる水洗トイレが発掘された。これは、レンガを椅子のような形に組んでつくられた水洗式で、排泄物はレンガでつくられた水路を通して川に流されるようになっていた。

(図表:筆者作成)

日本で水洗式トイレが登場したのは奈良時代の藤原京(704年完成)。この水洗式トイレは、水の流れる細い溝をまたいで用をたすタイプだった。

宇宙ではどうやって用を足すの?

トイレって水で流すもの?

水を使って排泄物を流すとなると、現在の日本では、その先に下水道や浄化槽がある。これらは感染症の流行により発達したという見方がある。

中世のヨーロッパでは、都市人口が増加すると、排泄物が街路に捨てられるようになり、衛生状態が悪化した。1350年頃にヨーロッパでペストが流行すると、1370年頃にパリに下水道がつくられた。18世紀に産業革命が起こると、人口はさらに都市部に集中し、衛生状態はさらに悪化する。19世紀になると、ヨーロッパ各地でコレラなどの感染症が大流行し、近代的な下水道がつくられた。

だが、排泄物が流れつく先に、処理施設のある下水道を使っている人は、現在の世界人口の5%程度。ほとんどの場合、排泄物は処理されず、川や海へ流れていたり、穴を掘って埋められたりする。洗浄する水の量を減らせるのは、水洗トイレが利用できる地域にとってはよいことだが、そうでない地域では、そもそも水を使わないトイレが必要だ。

インドにあるコンポストイレ。排泄物は乾燥した後肥料になる(筆者撮影)

国際宇宙ステーション(ISS)にも、そこで働く人がいる以上、トイレがある。見た目は洋式トイレに似ているが、違う点が2つある。それは、水を使っていないこと、下水道や浄化槽につながっていないことだ。ISSのトイレは排泄物が飛び散らないよう、掃除機のような形状の装置で吸い込み、その後、真空にして乾燥させる。小便は便器前方にある掃除機のホースのような管で吸引する。小便は再処理し、飲み水や実験用の水として使うことができる。

一方、大便は地上と同じように便座にすわり、レバーを操作して、中央の小さな吸い込み口から吸引させる。ただしISSは無重力空間なので、体が浮いてしまう状態で用を足すにはコツが必要。宇宙飛行士は地上でトイレを使う訓練をしている。

水を使わないトイレはほかにもある。たとえば「バイオトイレ(コンポストトイレ)」。排泄物を有機物や微生物によって分解・発酵し、堆肥などをつくる。トイレのなかには微生物のすみかとなるおがくずなどが入っている。

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