システム障害はごく一端「みずほ」深刻危機の本質 営業現場は人員削減の草刈り場?怒る行員たち

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一方、2021年5月以降、営業現場からは「本部による現場感覚の乏しい机上計画によって、営業現場は回らなくなっている」と悲鳴が上がり始めた。「平時でも部下たちは担当先すべてを回ることはできなくなっている。そのうえ、システム障害に伴うお詫びが重なった。もはや、まともな営業活動はできない」と法人取引の店舗を任されている人物はぼやく。

そもそも、店舗を個人店と法人部に分けるなどの大幅な店舗改編を行う前提には、「MINORI」をバックボーンとするデジタル技術導入による業務の効率化があったはずだ。

ところが、システム障害によってその前提はもろくも崩れて、業務は効率化されないどころか、システム障害で平時よりも営業現場の負荷は増してしまった。そのような状況に陥ることは容易に想定できたにもかかわらず、店舗改編は見直されずに突き進んだ。営業現場がパンク寸前になることはあまりに必然的である。

土台がぐらついた平屋の家に2階を増築すれば、その重みから家全体がぐらつき、住むことすらできなくなる。5月以降のみずほはそんな状態である。システム障害のたびに行われる記者会見の場では、この点を踏まえて「戦略の失敗ではないか」と問うたが、経営陣からは「頑張ります」といった弁明にもならない答えしか返ってこなかった。

若手、中堅クラスが職場を見限り始めた

そうしたなかで、夏ごろから営業現場では若手、中堅クラスの退職が現れ始めた。あまりのひどい状況に絶望して、職場を見限り始めたのだ。ある法人部長はそれを暗い表情でこう話した。

「『さすがにやっていられない』と言われると、何も引きとめることはできない」

そのうえでさらに怒気を強めて指摘する。

「坂井社長を含めて、持ち株会社の上層部には旧興銀(日本興業銀行)出身者が多く、彼らは中堅企業、中小企業、さらには個人の顧客を相手とする商業銀行のビジネスはまったく知らないし、理解しようとも思っていない。ただ、考えているのは『営業現場は人員削減の草刈り場』ということだけだろう」

確かに、旧興銀は大企業取引や市場取引に特化したような銀行であり、店舗数も各都道府県に1店舗というような態勢だった。ビジネスも組織も旧第一勧銀、旧富士の商業銀行モデルとは明らかに違った。そのような旧興銀で育った人たちが商業銀行のビジネスを理解していないという指摘は説得力がある。

また、営業現場の支店長に就いているのも、旧第一勧銀、旧富士の出身者ばかりであり、旧興銀出身者はいない。

旧興銀出身の経営者は商業銀行ビジネスの微妙さ、繊細さは理解せず、だからこそ、営業現場を管理し、グリップを効かせることを重視した。その象徴が佐藤康博前社長によるカンパニー制の導入であり、坂井社長によるカンパニー制の徹底化である。両氏とも旧興銀出身者にほかならない。

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