システム障害はごく一端「みずほ」深刻危機の本質 営業現場は人員削減の草刈り場?怒る行員たち

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みずほのシステム障害で浮き彫りになった根本的な問題とは?(写真:今井康一)
今年2~9月にかけて、8回もシステム障害を起こしたみずほ銀行。その深層には「“組織のあり方”の問題がある」と指摘するのが、金融ジャーナリストの浪川攻氏です。いったいどういうことなのか。浪川氏が解説します。
※本稿は『「型破り」な銀行の新ビジネス戦略 “みずほ”敗因からの教訓』から一部抜粋・再構成したものです。

現場を軽視したみずほグループの本部

新しい基幹系システム「MINORI」を2019年に本格稼働させたみずほグループの本部にあったプランは、それまでの懸案事項を2020年度中に解決し終え、2021年度以降、店舗統合やデジタル口座化によるコスト削減効果を発現させ、利益増強を一挙に実現するというものだったにちがいない。

しかし、それは現実感が欠落した「焦りのそろばん勘定」といってもおかしくなかった。

しかも、このプランは今年2月から3月にかけて4回発生したシステム障害によって、あえなく崩壊したはずだった。データ移行作業は凍結となり、(2021年4月に予定されていた)頭取交代人事は取り消された。そのあおりで本部レベルの異動にとどまらず、店舗統合したにもかかわらず、支店長たちの異動まで一時的に凍結状態に陥った。

内部管理が主業である本部の銀行員とは異なり、支店長など営業現場の銀行員は日々、顧客との接点の中で業務にあたっている。彼らは新型コロナ感染症の悪影響が及ぶ状況のなかで、事業者が最善の道を選べるように支援を続けている。

しかし、ヒエラルキー化した本部は、現場の実情に頓着しなかった。

「本部の人たちが問題を起こしたにもかかわらず、私たちに十分な説明はないうえに、本部の都合で営業現場は動けとか、止まれとか言われる。本部にとって、営業現場は稼ぐためのパーツにすぎないのだろうか」

営業現場で働く中堅行員がこう怒るように、2021年のシステム障害直後の状況から見えたのは、みずほグループの本部機能がいかに現場軽視であるのかという実情にほかならなかった。

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