「こだま」が占う、東海道新幹線の未来像 東京-新大阪「グリーン9500円」の深謀遠慮

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「エクスプレス予約は、今はビジネスのお客様が中心。だが、いずれ引退されれば平日のご利用は少なくなる。そういった方向けに、今回のような”のんびり旅を楽しむ”商品があれば、引き続きエクスプレス予約をご利用いただけるのではないか」

いま活躍しているビジネス層が将来リタイアした時に備えて、新幹線の旅情をアピールする。その考え方には、東海道新幹線の将来像が見え隠れしている。

2027年のリニア開業後をにらむ?

最近は「こだま」にも最新型のN700系が使用されることが増えている

JR東海は、2027年の品川〜名古屋間開業を目指し、いよいよリニア中央新幹線の建設に着手する段階にある。予定通り開業すれば、主要なビジネス客はリニアに移行するだろう。

東海道新幹線は短・中距離の利用が中心となり、新たな利用者層の開拓が課題となる。

一方、リニア中央新幹線が開業する頃には、現在エクスプレス予約を積極的に利用している人々のリタイアが始まる。リニア中央新幹線の開業後を見据え、「開業50周年」を契機として、JRが東海道新幹線に「旅情」や「くつろぎ」という価値を見出し始めた……と考えるのは早計だろうか。

JR東海は、1987年の発足以来新技術を積極的に導入し、東海道新幹線の乗り心地や利便性はこの四半世紀で大きく向上した。一方で、国鉄時代に「ゆとりある新幹線」を目指して導入された二階建て車両や食堂車は廃止され、旅情という面では後退したと感じる部分も多い。今、JRが東海道新幹線の「旅情」に再び着目したとすれば、それは東海道新幹線の大きな転換となる可能性がある。

「こだま☆楽旅IC早得」は、単なる記念商品にとどまらない、東海道新幹線の将来を占う企画と言えるだろう。

栗原 景 ジャーナリスト

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くりはら・かげり / Kageri Kurihara

1971年東京生まれ。出版社勤務を経て2001年独立。旅と鉄道、韓国をテーマに取材・執筆。著書に『新幹線の車窓から~東海道新幹線編』(メディアファクトリー)、『国鉄時代の貨物列車を知ろう』(実業之日本社)等。

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