コロナ禍でも「駅前開発進んだ」新幹線駅の将来性 「何もない」揶揄された上越妙高駅は景観が一変

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北陸新幹線は2020年3月の金沢延伸5周年がコロナ禍で消し飛んだ。JR西日本の公表データによれば、同年4~6月の利用実績は前年比わずか13%、7~8月は29%。感染拡大が一段落した10~12月は利用が戻ったものの67%止まり、2020年度全体では前年比36%と激減した。その後の利用も、コロナ禍前に比べて2~4割台で推移している。同社の2021年3月期決算は、連結で最終損益が2332億円の赤字となった。2022年3月期も赤字は不可避の状況だ。

※左端の2015年3月は14~31日。JR西日本の資料から筆者作成

コロナ禍が新幹線の利用を低迷させているだけでなく、新幹線ネットワークを支えてきた価値観やビジネスモデル、ひいては沿線の人々が描いてきた「20世紀型の夢」そのものを根底から揺さぶっている状況は、ワクチン接種や治療薬の開発が進んでも、大きくは変わらない。

ただ、1年前には予想できなかったポジティブな変化は少なくない。自宅ならまだしも有料の貸し会議室で、オンラインのレッスンを受ける光景が、地方の郊外に建つ新幹線駅前で見られるとは……。試練の出口は見定めがたいながら、新たな時代の胎動を感じさせるエピソードだ。

医師確保や医療にも恩恵

観光客やビジネス客の姿が消えた中、それまで目立たなかった新幹線の恩恵も各地で浮かび上がっている。例えば、上越妙高駅に近い市内の総合病院や、県境を越えた隣の駅・飯山駅(長野県飯山市)の駅前に立つ総合病院は、北陸新幹線の開業以降、常勤・非常勤医師の確保が格段に進んだ。

新青森駅前に立つ総合病院・青森新都市病院=2021年10月(筆者撮影)
飯山駅前のホテル建設が想定されている区画(手前)=2021年10月(筆者撮影)

北海道新幹線の沿線では、開業翌年の2017年、函館市で総合病院を運営する医療法人が、新青森駅(青森市)の東口に総合病院を開設した。その後、脳外科医が新幹線で青函両市を行き来し、治療実績が積み上がっている。

なお、飯山市では2021年10月、駅前へのホテル建設を目指す地元企業と市が、立地に向けて協定を交わした。北陸新幹線開業時に浮上、宙に浮いていた構想が、実現へ動き出したという。

また、新青森駅では2021年7月、2031年春に開業予定の北海道新幹線・長万部駅のデザインに携わる北海道立長万部高校の生徒たちが、駅と周辺を視察に訪れ、同駅を拠点に活動する青森県立青森西高校の生徒たちと交流する場面があった。10年後の札幌延伸時、大人になった生徒たちが、握手を交わす場面が見られるかもしれない。

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