はやぶさ通過もなんのその、福島ご当地鉄道事情 「乗っているだけで楽しい」絶景路線が勢ぞろい

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東京から実に4時間の長旅。そういうとなかなか大変そうだが、途中で日光や鬼怒川温泉にでも寄り道して1泊すればいいだけのことだ。たどり着いた会津はお城もあるし名所旧跡もあるし湖もあるし山もある。ソースカツ丼は会津名物のB級グルメ。少し足を延ばして喜多方まで行けば本場の喜多方ラーメンが食べられる。個人的には、会津は福島県でいちばんの観光地だと思っている。

このように、常磐線・東北本線・東武特急&会津鉄道によって福島県の主要3地域はすべて東京とつながっている。広大でそれぞれの地域が山岳地帯で隔てられているなかで、すべての地域にスムーズにアクセスできるというのだからこれほど便利な県はほかにないといっていい。

会津磐梯山麓、猪苗代湖畔の電化区間を走る磐越西線の電車(撮影:鼠入昌史)

そしてさらに、3地域を互いに結ぶ鉄道路線もきちんと整備されている。浜通りから中通りにかけては磐越東線(いわき―郡山間)、中通りから会津へは磐越西線。磐越東線は全線非電化でいささかローカル感が強すぎるが、磐越西線になると郡山から会津若松・喜多方までが電化されていて快速「あいづ」も運転されている。快速で郡山から会津若松までは約1時間だ。

絶景路線の旅が続く

会津若松からはまだまだ旅の続きがある。喜多方からさらに西に向かって県境を跨いで新潟を目指す磐越西線の旅を続けてもいいだろう。磐越西線の会津若松―新津間には、「SLばんえつ物語」が走る。C57形蒸気機関車“貴婦人”に揺られるローカル線の旅だ。

磐越西線を走る「SLばんえつ物語」。牽引するのは“貴婦人”C57形(撮影:鼠入昌史)
キハ40・48形が走っていた頃の只見線。現在はキハE120形に置き換えられた(撮影:鼠入昌史)

はたまた、只見線に乗り換えてみてもいい。只見線はご存じの通り、日本一の絶景ローカル線である。只見川を何度も渡り、山あいの小さな平地の里山を渡り歩いて山の奥へ奥へと進んでゆく。会津川口―只見間は2011年の豪雨災害の影響でいまだに不通で、その間は代行バスに乗り継がねばならないがそれもまたよし。2022年度中には上下分離方式で復旧される予定なので、それを待って全線乗り通す旅をしてみるのも楽しいだろう。

南北に通る3本の大動脈に、それを相互に結ぶローカル線の数々。会津地方からは新潟県に向かうローカル線も延びる。どれをとっても乗っているだけで楽しい絶景路線ぞろい。浜通り・中通り・会津それぞれの地域の特色をながめつつ、紅葉の季節に福島の鉄道の旅を楽しんでみてはいかがだろうか。

鼠入 昌史 ライター

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そいり まさし / Masashi Soiri

週刊誌・月刊誌などを中心に野球、歴史、鉄道などのジャンルで活躍中。共著に『特急・急行 トレインマーク図鑑』(双葉社)。

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