はやぶさ通過もなんのその、福島ご当地鉄道事情 「乗っているだけで楽しい」絶景路線が勢ぞろい

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県都・福島市のターミナルである福島駅からは、奥羽山脈を越えて山形・秋田方面を目指す奥羽本線が分岐する。いまでは奥羽本線の主役は山形新幹線であり、在来線はローカル色が強い。それでも大動脈から大動脈が分かれていくターミナルであることは変わらず、福島駅は東北の鉄道ネットワークのいわば“根本”のような位置づけなのだ。

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さらに福島駅からは2本のローカル線も分かれる。ひとつは阿武隈急行線。文字通り阿武隈川に沿って角田盆地を経て宮城県内に入る第三セクター路線だ。2019年の台風19号で被害を受けて一部区間が長期運休、復旧を危ぶむ声もあったが、2020年10月に全線運転再開にこぎ着けている。

もう1つは奥州三名湯に数えられる飯坂温泉に向かう福島交通飯坂線。“いい電”の名で親しまれる、たった9.2kmの私鉄路線だが、福島市内の地域輸送から温泉街へのアクセスまでを担う。福島県中通りの旅をしたら、飯坂温泉に泊まるのが1つの定跡であろう。

「中通り」と「会津」の路線

かつてはたくさんの特急列車や急行列車が走っていた東北本線だが、今では定期の優等列車は姿を消しており、すべて各駅停車の旅になる。黒磯から新白河までは約20分、新白河から郡山が約40分、郡山から福島が約50分。ロングシートの701系に乗りっぱなしということになればしんどい気もするが、東京近郊で満員電車に1時間揺られるのと比べればよほどマシである。

東北本線は福島県の中通り、ほぼ中央を貫く大動脈だ(撮影:鼠入昌史)

ちなみに、福島から仙台まではちょっと時間がかかって約1時間30分。2021年3月のダイヤ改正までは快速「仙台シティラビット」が走っていたが、今では基本的に途中の白石駅で乗り換えを強いられることになっている。

こうして中通りも押さえたら、最後に会津に向かわねばならぬ。会津地方は中通りから奥羽山脈を越えた先、猪苗代湖とその湖畔の会津盆地を中心とする山の多い一帯だ。中心都市は会津若松市。幕末の会津戦争、綾瀬はるかさん……というか大河ドラマ『八重の桜』でもおなじみの観光都市でもある。

東京から会津若松に向かうのには少し工夫が必要である。浜通りも中通りも天下のJRの大動脈に乗っていればよかったが、会津の場合はJRではなく東武鉄道。浅草か、それが不便ならば北千住あたりから東武特急に乗る。「リバティ会津」で野岩鉄道会津鬼怒川線を経て浅草から3時間ちょっとで会津鉄道の会津田島駅。そこから会津鉄道のリレー号に1時間ほど揺られれば、ようやく会津若松駅に着く。

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