というわけで、福島県の旅をはじめよう。まずは、東京からどうやって福島県に入るのか。福島県は大きく3つの地域に分かれており、海側から浜通り・中通り・会津となる。そして実にありがたいことに、東京都心からはそれぞれ3つの地域すべてに列車が通じているのだ。
浜通りに向かっているのはご存じ、JR常磐線だ。上野(というか正確な起点は日暮里で、いまは上野東京ラインのおかげで品川駅が事実上の起点になっている)から松戸や土浦を経て水戸、日立。茨城県内を通り抜けて、福島県内の太平洋沿いを北上する。
常磐線の福島県内におけるターミナルはいわき駅だ。かつては平駅といい、常磐炭田で採掘された石炭を首都圏に運ぶ拠点であった。常磐炭田はとうの昔に閉山となり、いまではスパリゾートハワイアンズなどに生まれ変わって観光スポットになっているが、とにかくいわき駅が浜通りにおける中核的なターミナルである。
「浜通り」を駆ける常磐線
このいわき駅から常磐線で北に進むと、双葉や浪江といった福島第一原子力発電所に近いエリアを通る。東日本大震災とそれに伴う原発事故では大きな影響を受けており、常磐線は全線復旧が最後まで遅れた路線でもあった。2020年3月の富岡―浪江間の復旧を最後に、あしかけ9年かけてようやく全線での復旧を果たしている。
常磐線は全線復旧に合わせて東京から仙台までを常磐線経由で結ぶ特急「ひたち」の運転も再開した。品川―仙台間の所要時間は約4時間15分。「はやぶさ」の3倍近く時間がかかるが、余裕があればこちらを選んでもよいと思えるほど、車窓から見える太平洋は美しい。
さて、続けて中通りを目指すことにしよう。中通りには郡山市や福島市といった福島県を代表する都市がある。そこを目指す路線は東北新幹線と東北本線だ。新幹線はどうせ「はやぶさ」が通過してしまうので、ここでは東北本線に焦点を絞る。
まあ、焦点を絞るといってもとくにややこしいことはなく、東京から東北本線で福島を目指そうとすれば、直流区間と交流区間が切り替わる黒磯駅などで乗り継ぐだけで、ただひたすらに北を目指せばいいからわかりやすい。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら