コロナ前であれば、「女性は早く結婚したほうがいい」という価値観のもとで相談所に入る若い女性はいたものの、美奈さんのような資格を持っているスーパーエリートは、「結婚なんてまだまだ」という感覚。20代はバリバリ仕事を楽しみ、30歳を過ぎた頃に、「結婚しようかな」と考え始めるという人がほとんどでした。
美奈さんに「結婚したら仕事はどうしますか」と聞くと、「辞めてもいいです」と平然と言う。「せっかく入った一流事務所なのに?」と言っても、ピンと来ない様子。
「結婚したら子どもを産むことになるだろうから、仕事はどっちでもいい。主婦になるのも構わない」と言います。仕事に対する希望があまりないように感じました。まさか令和になってこういう価値観になるとは思っていなかったので驚きました。
「つまらない毎日」をちょっと変えたい
美奈さんは大学1年生のときは家庭教師のアルバイトに励み、2年生からはダブルスクールでものすごく勉強したそうです。「学費を親に使わせちゃいました」と言っていました。学生時代から「会計士の資格を取ろう」と将来の見通しをきちんと立てて努力してきたのだから、今の状況も「いつかは好転するかも。それまでに仕事をがんばろう」と考えてもよさそうなのですが、そうはならない。
学生時代は、資格取得、卒業、就職と、ゴールが明確に見えていました。ゴールが見えていれば「がんばろう」と思えるのかもしれませんが、コロナ禍はいつまで続くかわからない。収束したところでリモートワークが終わるかどうかもわからない。何もわからない。諦めの感覚に近いのかもしれません。
そのせいか、婚活してみようと自ら相談所に入ったにもかかわらず、「結婚=ゴール」「結婚=幸せ」とも考えていないように見えます。「結婚したい」というよりは、1日中家にいるつまらない毎日をちょっと変えたい。人生を好転させたいというほうが美奈さんの心境に近いのではないでしょうか。
「人生を変えたい」というときに選択肢に入っていたはずの転職は、コロナ禍では入りません。そもそも社会にどんな仕事があるのかわからず、上司の経験談も聞けず、自分のスキルが同僚と比べてどの程度なのかもわからない。「だったら結婚」という考えが、親やドラマなどの影響からなんとなく刷り込まれているのかもしれません。
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