代表的な国内事例では、2020年、ヒューマンビートボックスのアジアチャンピオン・HIRO氏とFuga氏によるチャンネル「Rofu」にて、ヒカキンのヒューマンビートボックス動画に言及し「現役ビートボクサー」の知見を交えて解説する動画が投稿され大きく伸びました。日本人が日本語でリアクション動画を作る場合、海外クリエイターのように「ただ見て反応する」だけではなく、専門的な知見など「その人がやる意味」が明確であることが重要です。
2021年上期は同じく急上昇するクリエイター「おろちんゆー」のビートボックス動画について言及し、こちらも大きく伸びました。「おろちんゆー」は普段は虫を食べたりとアウトドア系クリエイターとして括ることができますが、これによりビートボックス界隈でも認知されることになりました。このように、ちょっとしたきっかけが別界隈で認知されることで相互のファンが混じり合う現象が起こるのもリアクション動画の特徴です。
有識者による言及という切り口を見ると、2021年3月に「シン・エヴァンゲリオン新劇場版」が公開されるにあたり考察系動画が多く増えました。夏季五輪ではスケートボード選手・瀬尻氏の型破りな解説が話題になるなど、いわゆる「天の声」もコンテンツとして楽しまれてきています。YouTubeの「Content ID」の活用も含め、プラットフォーム自体が「コンテンツの二次利用」という形の多様性を模索しているようにも考えることができます。そして、これらが伸びていくことは、視聴者がコンテンツについて「より深いコンテキストの理解」を求めていることの現れでもあるでしょう。
「メタ」クリエイティブのさらなるコンテンツ化
2021年上半期を総括すると「メタ」クリエイティブの更なるコンテンツ化に期待を持てる期間となったのではないかと考えます。今までは一次創作者だけが戦える世界であったクリエイティブの世界に、メタ視点で解説・リアクション・切り抜き・編纂といった行為を交えた二次創作で「既存ファン」のみならず「ライト層」「ディープ層」へのリーチが行われたチャンネルが伸びました。
一方で、原作者として更なる企画力・演出力で勝負しているクリエイターも引き続き伸びています。YouTubeクリエイター市場も徐々に成熟してきており、体を張ったりギリギリを攻めたりするだけの笑いだけでは厳しくなってきているのも事実です。ファンとの関係性を構築しながら、時代に求められる「ノリ」をつかみ、乗りこなしたクリエイターが次の世代を作っていくでしょう。
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