今のYouTubeで抜群に稼ぐ動画の知られざる特徴 二次創作の動きが加速、2021年上半期YouTube事情

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この「ショート」に絡めて「公認切り抜きチャンネル」の動きも見逃せません。「切り抜きチャンネル」とは、1時間を超えるような超長尺動画の中から、名シーン・名言をピックアップして数分の動画に編集・投稿する「切り抜き動画」専門のチャンネルのことです。

これらの短尺動画はショートに流用されることも多く、2ちゃんねる創業者の「ひろゆき」や、ゲーム配信者の「加藤純一」「もこう」「釈迦」など長尺の生配信を行うクリエイターがよく切り抜きの対象になっています。他にも2021年はイベントが生配信に置き換えられることが当たり前になったこともあり、切り抜き動画は多く上がっています。

ポイントは“公式”ではなく、“公認”であること。本人や所属事務所ではなく、第三者による編集・運営がなされているのです。一昔前であれば転載・編集・加工はNGとされていた行為ですが、現在はYouTubeの機能を活用することで合意のもとで実施されるようになっています。

切り抜きによる二次創作は原作者にも利益還元

YouTubeに投稿された動画は「Content ID」というパラメータを持たせられます。これを活用して「原作」と「二次創作物」を紐づけることで、原作を明示的にするとともに二次創作物の広告収益を原作者と按分することが可能になるのです。つまり切り抜きによる二次創作は原作者にも利益の還元が発生するという仕組みになっています。そこで「公認」という流れができているのです。

「公認切り抜きチャンネル」は忙しい人にとってありがたいコンテンツである一方で、文脈を無視した切り抜きやセンセーショナルなサムネイルで再生数を稼ごうとするチャンネルも存在します(多くが非公認もしくは黙認)。そのため、原作者はディスブランディングにならないよう、チャンネルとの信頼関係が重要になってきます。

UUUM社による所属クリエイターの切り抜き動画を解禁する流れもあり、今後もこの原作者・二次創作者によるコンテンツの拡散の流れは広がるでしょう。

2021年上半期の急成長クリエイターについて触れていきましょう。この上半期、ある「エンタメ企画系」女性クリエイターが急激に人気を伸ばしました。「エンタメ企画系」に振り切った女性クリエイターは実はそんなに多くはありません。

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