海外メディアが報じた「女性皇族」の過酷な現実 日本では女性はいまだに「二級市民」なのか

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直近の自民党総裁選で、2人の女性が首相の座を目指すなど、日本も少しずつ変わってきてはいる。また、一部の企業は女性の登用に会社全体で取り組んでいる。

だが、日本社会はまだ多くの意味で女性を二級市民として扱っている。夫婦別姓は法律で認められておらず、実際に多くの女性が夫の姓を名乗ることしかできない。そして企業の経営陣、国会、名門大学では、いまだに女性は少数派だ。

不平等な扱いに抵抗したり、男女平等の権利を訴える女性は、出しゃばり過ぎだと非難されることも多い。ソーシャルメディアで眞子さんが浴びた批判は、性的暴力や、職場でハイヒールを履かなくてはいけないという職場の決まりについて声を上げた女性たちに対するメディアの扱いを彷彿させる。

皇族は「時代を超越した存在」との見方

皇室の中で、女性は昔の価値観に従うことを期待される。

「皇族は時代を超越した存在であり、現代社会に属さないというような考えがあります」と話すのは、マイアミ大学の人文科学センター創始者兼ディレクターであり、君主制における女性に関する本を執筆してきた鈴木美穂子氏だ。伝統主義者というのは、「古くて馴染みのある、長く続く男女の役割を皇族に映したがるものだ」と彼女は指摘する。

第二次世界大戦後、アメリカに押し付けられた新憲法の下、天皇は神のような地位を失った。そして多くの意味で3代にわたる皇族の女性がそれから何十年における日本の進化を反映している。

戦争の歴史から日本が解き放たれ、美智子さまが過去何世紀のなかで初めて一般人として皇族と結婚した。子どもたちを皇室の侍従に預けず、自ら育てた。夫である明仁天皇とともに国内外を回り、災害の被害者や障害を持った人々には膝をついて話すなど、それまで遠い存在だった皇族に人間らしさをもたらした。

だが、皇居を改築したり、色々な洋服を着ると、メディアは批判した。宮内庁や美智子さまの義理の母親は、彼女には敬意が足りないと考えていたという噂も広がった。

1963年、結婚して4年目に胞状奇胎で人口流産をし、御用邸で2カ月以上過ごした美智子さまがノイローゼになったという憶測が広まった。それから30年後、極度のストレスにより声を失い、回復には数カ月を要した。

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