北総線の運賃値下げ、一体いくらが適切なのか 財源確保に、国や県のイニシアティブを期待

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北総7260形電車(写真:Yuji Shibasaki/PIXTA)

北総鉄道(京成グループ)は今年6月23日に2020年度の決算報告の概要を発表し、2022年には累積損失を解消できる見込みとなったことから、運賃値下げの可能性の検討に着手することを表明した。同年度決算では、コロナ禍で減収減益となるも、営業収益134億円、当期純利益は12億円を確保している。ピーク時の1999年度に447億円だった累積損失は31億5200万円まで圧縮した。北総の合理化努力もあるだろが、長年、高額運賃を利用者が払い続けてきた結果だ。

北総線高額運賃で就業差別も

「財布落としても定期落とすな北総線」という言葉で知られる高額運賃の北総線。この言葉通り、通勤定期6カ月運賃を見ると、千葉ニュータウン中央駅から京成電鉄線に変わる京成高砂駅までが17万9120円(23.8km。普通運賃780円)、日本橋駅までだと京成、都営地下鉄を乗り継ぐこととなり、25万3320円(36.0km、普通運賃1150円)だ。

通勤については、通常、会社員は通勤手当が支給されるから生活に影響はないという意見もある。しかし、高額な手当負担を嫌う企業が北総線の沿線住民の採用を拒んだり、支払額を制限したり、通勤経路の変更を求めるといった事態も指摘されている。

「北総線の運賃値下げを実現する会」(北実会)等の市民運動が北総線の高額運賃を指摘してきた。それに対して、他にも同様に高額運賃の鉄道はある、高額運賃を承知で移住して文句を言うのはおかしいという反論も聞かれてきた。

たしかに、田舎暮らしを好み不便な場所に移住して運賃が高いと批判するのはおかしい。しかし、千葉ニュータウン(千葉NT)は千葉県及び独立行政法人都市再生機構(UR)(過去に組織改編)による「新住宅市街地開発事業」によって開発されてきた。『東京都心や成田国際空港との近接性を活かしながら、「住む」「働く」「学ぶ」「憩う」など、各種機能の複合した総合的な都市』(千葉県)なのだ。そうした施策によって移住した住民が高額運賃に苦しんでいる。

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