ユーロ各国にはギリシャ支援以外に選択余地ない--フランス駐日大使 フィリップ・フォール

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--ユーロ下落は「参加各国がギリシャなどの支援で一枚岩になることはできない」と、懐疑的に見ているためではないのですか。

救済に自分たちの税金を使われたくないといった感情が欧州に残っているのは確かです。だが、ギリシャへの支援は贈与でなく、あくまでも融資。利息も払ってもらうし、通常であれば、おカネは戻ってくる。

ユーロ導入でわれわれは同じ船に乗り込みました。自ら望んだ連帯の枠組みから抜け出すのは不可能なのです。EUの複数の条約は加盟国の離脱を一切想定していません。単一通貨の導入でユーロ圏の経済は発展を遂げたのです。

ユーロ発足以前は、域内での取引や投資はロシアンルーレットで遊んでいるような、危険なものでした。通貨変動があるため、最終的な取引額がどの程度のものになるのか、まったくわからない状況だった。ユーロ圏形成によって安定がもたらされた格好です。

危機に直面することでEUは前進してきた

--08年の米国発経済危機に耐えられたのも、ユーロの存在があったからですか。

そうです。仮にそうでなければ、各国の通貨はカスケード(滝)のような売りに巻き込まれていたでしょう。各国の中央銀行も、それぞれ対抗策を講じなければならなかったはずです。

困難が多ければ多いほど、それに耐えうるような仕組みを考えなければならない。その結果、投機筋などの攻勢に対しても、持ちこたえるのが可能になりました。

EU構築の過程でも危機に直面するたびに、その打開策を探し出してきました。現在行っているのもそれと同じこと。何が問題なのかをよく分析し、構造的な解決の方策を見いだすことで、次に到来する危機への抵抗力を付けてきたのです。

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