中国「恒大危機」で経済の主力エンジンが止まる日

不動産バブル凍結が消費失速の引き金に

恒大集団が手がけるマンションの販売オフィス(写真:illes Sabrié/The New York Times)

中国政府は、負債が危険なまでに膨らんだ住宅市場の熱を冷まそうとしている。住宅市場の過熱が以前にも増して国家的な脅威と見なされるようになったのだ。

しかし、3000億ドル(約34兆円)の負債を抱える不動産開発大手・中国恒大集団がもたらす危機の封じ込めを進める中で、中国政府は経済成長の主力エンジンを傷つけるおそれがある。そのエンジンとは、ホー・チエンさんのような住宅購入者だ。

中国の不動産市場を楽観視していたホーさんは、問題の恒大集団からマンションを購入。その後、自らも不動産仲介業者となり、同社のマンションを何百戸と販売した。

「人々はもう不動産を買う気分ではない」

ホーさんは最近、かなり悲観的になっている。中国南部の岳陽市出身の彼は、自身が購入したマンションにまだ入居できていない。恒大集団が建設を中断したためだ。住宅購入に神経質になっている人があまりにも多いため、以前の自動車販売の仕事に戻ることを考えているという。

「人々はもう不動産を買う気分ではない」とホーさん。

ホーさんのような現役世代を魅了した中国の不動産ブームは目下、劇的な修正局面を迎えている。一時は購買意欲が熱狂的に高まり、販売開始から数分で物件が売り切れる状況が続いていた。投機的な購入によって物件価格は高騰。一部の推計によると、中国の経済成長に対する不動産市場の貢献度合いは25%を超えるレベルにまで拡大し、中国では住宅が家族の主な資産形成手段になった。

今では、中国における世帯資産のおよそ4分の3が不動産と結びついている。不動産市場に対する信頼の喪失は、自動車や家電製品の販売減に波及し、経済にさらなる打撃を及ぼす可能性があるということだ。

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