中国「恒大危機」で経済の主力エンジンが止まる日 不動産バブル凍結が消費失速の引き金に

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中国の小売売上高の減速はすでに始まっており、消費者が不安を募らせている兆候がうかがえる。人々が住宅の購入を敬遠する中、不動産市場に介入し債務を抑制するという政府の決定は経済全体の成長を危うくしかねないと専門家らは指摘する。

「不動産市場は現に深刻な落ち込みを示している。価格、販売、建設活動は低下しており、今後数四半期にわたって経済成長の足を引っ張る可能性が高い」と独立調査会社ガベカル・ドラゴノミクスのマネージング・ディレクター、アーサー・クローバー氏は語る。

高級不動産会社もデフォルト

恒大集団はかつて中国不動産ブームの象徴だったが、最近では経営危機のニュースで世界の市場を揺るがす存在となった。ここ数週間だけでも、外国人投資家に対する重要な利払いをいくつも見送っている。

恒大問題は世界各国の中央銀行トップがコメントを発し、アメリカの国務長官が中国に「責任ある行動」を求める事態にまで発展している。

不動産業界のデータ企業・中国房産信息集団(CRIC)によると、中国の不動産企業上位100社の9月売上高は前年比で3分の1以上減少したもようだ。10月初旬には高級マンションで知られる不動産開発企業・花様年控股集団(ファンタジア)が予想外のデフォルト(債務不履行)を起こし、金融市場に衝撃が広がった。

恒大危機は9月にもっと深刻なものになっていた可能性もある。恒大集団は投資家に対し、売上高の「著しい落ち込みが引き続き」見込まれると警告。中国のあらゆる都市で同社物件の建設は停止しており、約160万人のマンション購入者が待ちぼうけを食らって、にっちもさっちも行かない状況に置かれている。

以前は不動産の購入に興味を示していたホーさんの知人や隣人は、決して完成することのないマンションに頭金を支払うことになるのではないかという不安を口にするようになった。以前は多くの家族を引き寄せていた恒大集団の洗練された営業所も、今では人々から避けられるようになっている。

ホーさんは、このような人たちを責める気にはなれない。

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