「プライマリーバランス黒字化」凍結すべき深い訳 財政出動の判断基準は「乗数効果、雇用、賃金」だ

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これらの政策を実現するためには、毎年かなりの額の政府支出が必要になります。

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こういった投資を「生産的政府支出(Productive Government Spending:PGS)」と言います。GDP560兆円、世界第11位の人口大国の日本を動かすには、毎年数十兆円単位の予算が不可欠です。

将来的に経済を大きく改善させるためにこのくらいの規模の先行投資をしながら、なおかつ社会保障の負担もあるので、間違いなく当面プライマリーバランスの黒字化はできません。日本はプライマリーバランス黒字化を公約として掲げてきましたが、残念ながらこの公約は、当分の間、凍結せざるをえません。

しかし、先に挙げた政策を、賢く、かつ着実に行えば、やがて財政は健全化します。要するに、元の取れる政府支出を増やしてGDPを高めることで、財政を健全化させるということです。

経済成長に寄与する財政支出が先進国中、最も低い

プライマーバランス黒字化が当面不可能なのは、政府支出の中身を見れば一目瞭然です。

GDPに対する日本の政府支出の割合は、他国と比較しても決して低いわけではないのですが、社会保障費以外の予算が異常に少ないのです。日本では生産年齢人口の減少と高齢化が同時に進んでいるため、政府支出のうち社会保障費の金額が大きく膨らんでいます。特に2000年あたりから社会保障費は大きく増えているのに、生産的政府支出(PGS)は抑制されて、ほとんど増えていません。

社会保障費などは「移転的政府支出」と呼ばれ、経済成長には貢献しないと分析されています。一方、インフラ投資、教育や基礎研究などの政府支出は、経済全体の質の改善・向上につながるので、「生産的政府支出(PGS)」と位置づけられ、経済成長率の改善に寄与することが確認されています。

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