「プライマリーバランス黒字化」凍結すべき深い訳 財政出動の判断基準は「乗数効果、雇用、賃金」だ

今回の記事のポイントは、以下のとおりです。
(2) 生産的政府支出の対GDP比は先進国平均24.4%に対し、日本は10%以下
(3) 生産的政府支出の不足によって、GDPの成長率が低迷している
(4) 結果、財政が悪化している
(5) この状況を正すには、生産的政府支出を大幅に増やすべき
(6) 金額は、最終的に年間数十兆円の規模まで増やすべき
(7) したがって、当面はプライマリーバランスの黒字化の目標は凍結すべき
(8) 新規財政出動はバラマキではなく、乗数が1以上の元が取れる支出に集中させるべき
(9) 何に対してどれだけ財政出動をするかは、雇用の量と質を基準にして決定するべき
毎年「数十兆円規模」の財政出動をせよ
日本は、人口減少と「3大基礎投資」の不足が要因となり、賃金が上昇せず、経済が成長しない状態に陥っています。この状況から脱却するには、研究開発、設備投資、人材投資という「3大基礎投資」を喚起し、経済を成長させ、その成果で賃金を上昇させるための経済政策が求められます。
つまり、長期的な経済成長や賃金の引き上げは、あくまでも投資によってのみ実行できるという経済学の大原則を忘れてはいけないということです。
持続的な経済成長は、バラマキによって達成できるものでは断じてありません。国際決済銀行の「Consumption-led expansions」の分析によると、個人消費主導の景気回復は相対的に回復力も持続性も弱いと確認されています。
私は5年前から日本経済に関してさまざまな分析を行い、以下に挙げる政策を提言してきました。
(2) 研究開発予算の増加
(3) 設備投資の喚起
(4) 人材投資の促進
(5) 格差縮小のための最低賃金引き上げ
(6) 輸出の促進
(7) 中小企業の強化
(8) 黒字廃業の回避
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