スカイマークが茨城空港から撤退、地方空港乱立の行く末
今年3月に日本で99番目に開港した茨城空港が揺れている。
新興航空会社のスカイマークが神戸便を9月から運休すると発表。同空港で唯一の国内定期便だが、半年も経たずに事実上撤退することになった。日本航空(JAL)と全日本空輸(ANA)は需要が見込めないとして就航に関心はなく、国内便ゼロという異常事態に陥ることが確実だ。
茨城空港は航空自衛隊・百里基地内に新設した軍民共用空港。スカイマーク幹部は「航空自衛隊への配慮が予想以上に必要で安定運航に支障がある」と指摘する。航空祭などでの運航ダイヤ変更がネックになったという。
ただ、自衛隊との関係は事前に確認済みのはずで、採算悪化への対応が理由とみられる。平均搭乗率は75%と一見して高水準だが、想定より低く、整備コストを含めると赤字路線だからだ。
黒字は3空港のみ
茨城県の落胆ぶりは大きい。7月末からは中国の格安航空会社である春秋航空が上海便を週3便程度就航することが決まっている。春秋航空は初の国際線となり、「トップセールスが実った」(県担当者)矢先だったのだ。
ただ、春秋航空はチャーター便のみの就航。定期便としてはスカイマークの撤退で韓国・アシアナ航空のソウル便が1日1便だけとなる。当初見込んでいた札幌、福岡、大阪、那覇への就航で年間約80万7000人という旅客需要計画からは、程遠い。県は空港隣接地に工業団地「空港テクノパーク」を109億円を投じて建設したが、進出企業はいまだゼロのままだ。