カローラクロス対ヴェゼル、最新SUVを徹底比較 若干クラスは異なるが、価格ではライバル関係

拡大
縮小
カローラクロスの走行イメージ(写真:トヨタ自動車)

例えば、カローラクロスの場合、前述のパノラマルーフや、手を使わずにリアゲートを開けられる‪ハンズフリーパワーバックドア‬は、いずれもZとSにオプション設定されており、税込価格はどちらも11万円。両方を装備すると計22万円となる。一方、ヴェゼルでは、パノラマルーフはe:HEVプレイのみ装着できるが標準装備(他グレードは設定なし)、ハンズフリーのリアゲートもe:HEV Zとe:HEVプレイに標準で装備される。そう考えると、カローラクロスは、オプションを追加していけば、ヴェゼルとの価格差は意外に小さくなり、装備次第では価格があまり変わらなくなるケースも考えられる。


ただし、購入総額にさほど差がないのであれば、室内や荷室の広さなど高い実用性を持つカローラクロスにユーザーが流れる可能性は十分にありうる。また、ある程度高い年齢層には、歴史と信頼性を誇る「カローラ」シリーズに属するというブランド力も、大きな訴求ポイントになるだろう。

2台とも納期が長いのが悩みどころ

ヴェゼルの走行イメージ(写真:本田技研工業)

日本自動車販売協会連合会が発表している登録車の新車販売台数によると、現行のヴェゼルは、2021年4月の発売から同年9月までの期間で、つねに上位10位以内をキープし、6カ月で2万9346台(月平均4891台)を販売している。先代モデルほどの勢いはないが、堅実に売り上げを伸ばしてきているのは確かだ。今後、カローラクロスの登場で、ヴェゼルの売り上げにどのような影響がでるのかが注目される。

なお、SNSなどによれば、カローラクロスについては、8月末頃から受注が開始されており、すでに注文を入れたユーザーもかなりいるようだ。ただし、納期は9月末のオーダーで4~6カ月後、登録は早くても2022年1月以降になるようだ。とくにハイブリッド車の納期は長めで、すでに注文は入れたが納期が決まっていないというユーザーもいるという。納期が長くなっている要因には、東南アジアにおけるコロナウイルスの影響拡大などによる部品供給不足がある。発売されたばかりのカローラクロスに、これがどう影響するのかも気になるところだ。ただし、納期遅れはヴェゼルも同様なので、条件はほぼ五分といったところだろう。いずれにしろ、SUV市場の熾烈なシェア争いは、今後もしばらく続くことだけは確かだ。

平塚 直樹 ライター&エディター

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ひらつか なおき / Naoki Hiratsuka

1965年、福岡県生まれ。福岡大学法学部卒業。自動車系出版社3社を渡り歩き、バイク、自動車、バス釣りなどの専門雑誌やウェブメディアの編集者を経てフリーランスに。生粋の文系ながら、近年は自動運転や自動車部品、ITなど、テクノロジー分野の取材・執筆にも挑戦。ほかにも、キャンピングカーや福祉車両など、4輪・2輪の幅広い分野の記事を手掛ける。知らない事も「聞けば分かる」の精神で、一般人目線の「分かりやすい文章」を信条に日々奮闘中。バイクと猫好き。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT