「イカゲーム」がNetflix最高峰に迫る納得理由 TikTokでバズった話題のカイジ似韓国ドラマ

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脚本・演出を手がけたのは映画『トガニ 幼き瞳の告発』を代表作に持つファン·ドンヒョク監督。

モデル出身のチョン・ホヨン(写真右)演じるセビョクと演技派女優イ・ユミが好演したジヨンの間に築かれる友情など、人間ドラマも見どころのひとつにある(写真:Netflix)

お金と人の死を引き換えにした設定をいたずらに終わらせず、骨太のエンターテインメントに仕上げたかったのは監督のこだわりとも言えるもの。

黒幕の正体が明かされる場面では観る者の倫理観を問いかけるようで、最後の最後までひねりがきいています。

爆発的に広がる少女型ロボットの模倣動画

人気を引き上げているもうひとつ理由はTikTokやツイッター、インスタグラムでバズり現象が起こっていることが大きいです。お気に入りのシーンをアレンジしたイラストやアニメーションが次々と投稿され、拡散されています。

なかでも第1話で登場する「ムクゲの花が咲きました」(「だるまさんがころんだ」)で使われる巨大な少女型のロボットを模倣した動画が爆発的に広がっています。9月29日付のNYタイムズの記事によれば、9月17日に配信されて以降、140億本以上のミーム動画がTikTokに投稿されているというのです。

「ムクゲの花が咲きました」ゲームに登場する巨大な少女型ロボットを模倣した動画がTikTokやツイッター、インスタグラムで拡散されている(写真:Netflix)

この少女型ロボットのビジュアルや不気味な声色で唱える韓国語の「ムクゲの花が咲きました」のフレーズが『イカゲーム』を知るきっかけとなり、象徴的なイメージとなっているのです。

Netflixは作品のプロモーションとしてこれをもともと使っていたので、狙っていたとも言えますが、予想以上の効果を実感しているでしょう。テッド・サランドスがわざわざ『イカゲーム』の好調ぶりを話したくなるほどです。

そして、実際に作品を観たら、構成力のよさとストーリー性のよさに惹かれて一気見必須の作品というわけです。認知度の高さと作品力が相まって、ヒット不可避のサイクルが出来上がっています。どこまで数字を伸ばしていくのでしょうか。2020年にアカデミー賞の作品賞を受賞した映画『パラサイト 半地下の家族』から間髪入れずに韓国コンテンツの実力を見せつける作品として、注目度はさらに高まっていきそうです。

長谷川 朋子 コラムニスト

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はせがわ ともこ / Tomoko Hasegawa

メディア/テレビ業界ジャーナリスト。国内外のドラマ、バラエティ、ドキュメンタリー番組制作事情をテーマに、テレビビジネスの仕組みについて独自の視点で解説した執筆記事多数。最も得意とする分野は番組コンテンツの海外流通ビジネス。フランス・カンヌで開催される世界最大規模の映像コンテンツ見本市MIP現地取材を約10年にわたって重ね、日本人ジャーナリストとしてはこの分野におけるオーソリティとして活動。業界で権威ある「ATP賞テレビグランプリ」の「総務大臣賞」の審査員や、業界セミナー講師、札幌市による行政支援プロジェクトのファシリテーターなども務める。著書は「Netflix戦略と流儀」(中公新書ラクレ)。

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