ホンダですら「脱エンジン」過激なEV競争の現在地 VWは「ゴルフ」より3割以上安いEVを投入予定

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欧州連合(EU)の欧州委員会は7月、ハイブリッド車(HV)を含む内燃機関車の新車販売を35年までに実質的に禁止する方針を示した。2030年の二酸化炭素(CO2)排出規制も厳しくする。

欧州自動車工業会は「充電インフラが十分に整備されていない段階で内燃機関車を禁止するのは合理的な方法ではない」と反発したが、大方針を前に企業も覚悟を決めて動き出した。

一方、欧州以外の地域ではやや状況が異なる。現時点では、米国は2030年、中国や日本は2035年の段階でもHVを許容する。EVの普及には発電の脱炭素化と充電インフラの整備が欠かせないからだ。

自動車の保有年数は10~15年。市中を走る車両すべてを走行中にCO2を出さないゼロエミッション車(ZEV)に置き換えるのにも時間がかかる。

自動車を製造する際のCO2排出も大きな課題

排出規制はクリアできても、EVが用いる電気の発電時にCO2が排出されれば元も子もない。自動車を製造する際のCO2排出も大きな課題だ。欧州と比べて火力発電の比率が高く、再生可能エネルギーの導入で後れを取る中国や米国、日本が年限を決めて「脱エンジン」を宣言するのは現実的ではない。

ただパリ協定が掲げる2050年のカーボンニュートラル達成を見据えると、どの国・地域も2035年から2040年には新車のZEV化に踏み込まざるをえない。

そこでアメリカ最大手のゼネラル・モーターズ(GM)は今年1月、2035年までにすべての新車をEVなどのZEVにすると宣言。GMのメアリー・バーラCEOは「当社は世界一のEVセラーになる」と話し、変革を急ピッチで進める。

2020年に発売されたホンダ初の量産電気自動車「ホンダe」(週刊東洋経済編集部撮影)

4月には、ホンダも2040年までに新車販売の100%をEV・FCVとする方針を打ち出した。日本勢初の脱エンジン宣言は、系列部品メーカーも含めた国内自動車業界に衝撃を与えた。ホンダの三部敏宏社長は、「脱炭素を達成するギリギリ最低限のラインを掲げた」とあくまで現実的な目標であることを明かす。

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