中国経済は電力危機で大打撃を受けているが、この冬の寒波で電力需要増加と燃料価格上昇に拍車が掛かれば、状況はさらに悪化する恐れがある。
中国の「電力危機」、年末商戦前の世界サプライチェーンに新たな脅威
ラニーニャ現象が発生する公算大で、既にタイトなエネルギー供給がさらに逼迫(ひっぱく)する可能性がある。米気象庁(NWS)は今月に入り、2021-22年冬季にラニーニャ現象が発生する確率は70-80%と発表した。ラニーニャ現象では通常、北半球の気温が平年より低くなる。
気温が低下すれば電力網にさらに負荷がかかることから、こうした予報は停電を回避したい政策当局の心理的な負担となりそうだ。中国の国内総生産(GDP)の3分の2余りを占める少なくとも20の省・地域がこれまでに何らかの形での停電計画を発表。ゴールドマン・サックス・グループや野村ホールディングスなどは成長鈍化の可能性を警告し、サプライチェーンが混乱するとの懸念が広がっている。
寒波が到来した場合、中国の政策当局には基本的に以下の3つの選択肢がある。これらの組み合わせもあり得る。
- 電力会社の料金引き上げ容認
- 発電量は増えるかもしれないが、インフレ加速を招く可能性もある
- 低水準の経済成長を受け入れ
- 石炭の生産拡大
- 数週間後に始まる第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)で外国の厳しい視線を浴びるリスクがある