1年で英語を習得する人・できない人の「分かれ目」 能力や根気強さに差があるわけではない

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「英語を話せるようになりたい」と思ったら、とりあえず英会話スクールに申し込む。いつまで通うかといえば「話せるようになるまで」、どれくらいの頻度で通うかといえば「価格も手頃だし、週1回コースにしておくか」というのがよくあるパターンでした。

つまりほとんどの人は、なんとなく学習を始めてしまうわけです。しかし、これでは目的地もわからないまま、あてどのない船旅に出るようなもの。結局はどこにもたどり着かず、広大な海で漂流を続けるだけです。

「学習プログラムをデザインする」作業ができていない

なお、日本人が英語を習得するには、1000時間の学習が必要であることがわかっています。私たちが提供する英語習得プログラムのTORAIZでは、「1年で英語をマスターする」と期限を設定し、1人ひとりが「英語で自社製品についてプレゼンする」「海外企業との商談を担当する」「外国人の部下をマネジメントする」といった明確なゴールを設定したうえで、1年で1000時間の学習を実行するための計画を立てます。

日本人の多くが「英語を話せるようになりたい」と思いながら、現実にはかなえられていないのは、決して能力や根気強さが足りないからではありません。ただ単に、「時間に着目して個別最適化された学習プログラムをデザインする」という作業が抜け落ちているだけです。

では、個別最適化された学習プログラムをどのように作ればいいのか。実はそのための科学的な手法も、すでに確立されています。それが「インストラクショナル・デザイン」です。

これは「何を(What)できるようにするか」を明確にしたうえで、「どうやって(How)できるようにするか」を体系的に考えることにより、効果的・効率的・魅力的な学習プログラムをデザインするための方法論です。アメリカでは公教育でも用いられており、さまざまな学習の場で広く取り入れられています。日本でも2000年代から、eラーニングの開発手法として注目を集めるようになりました。

インストラクショナル・デザインの特徴は、「学習目標」「学習内容」「評価」の三つの基本要素を相互補完的に組み合わせることです。学習目標を立て、学習内容を決めて実行し、テストやアンケートなどの評価方法で学習達成度を測定する。このサイクルをぐるぐる回しながら改善していくのが基本的な構造です。これは要するに、「ビジネスにおけるPDCAを学習に当てはめたもの」です。

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