マクドナルド復活“第2幕”--7年目、原田改革の新機軸

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 02年、同社はハンバーガー平日半額65円セールを打ち切って80円への値上げを実施、半年後には59円に再値下げするなど、価格戦略で迷走した。結果、消費者の不信感を招いたという苦い過去がある。

しかし、当時同社が行った消費者へのアンケート調査の結果は意外なものだった。いちばんの問題は、むしろ「商品に飽きた」ことにあったのだ。

原田社長就任後は値下げに頼らず商品力強化に注力する。03年には、7種類しかなかったハンバーガーのレギュラーメニューに「えびフィレオ」や「ベーコンレタスバーガー」などの新顔を加え、直近では15種類まで増やした。

08年には「まずい」と悪評だったコーヒーを一時休止してまで味を改良し再投入。顧客の来店率向上を後押しした。イメージを刷新するため、年間200店を超える店舗改装も積極的に実施している。

今や打ち出す商品は相次ぎヒット、順風満帆のムードさえ漂うマクドナルド。だが、その裏には原田社長が一貫して重きを置いてきた“基礎固め”による強固な土台がある。

原田社長は就任後まず、「メイドフォーユー」と呼ばれる新型キッチンシステムの早期導入に着手した。旧型キッチンは混雑時に備え事前に商品を作り置きするやり方だったが、品質の向上を優先し、注文を受けてからハイスピードでできたての商品を提供できる仕組みへの転換を、計画前倒しで急いだ。

そのうえで、一度離れてしまった顧客を取り戻すため、05年4月からは「チーズバーガー」やドリンク類など定番商品を100円均一で投入。100円戦略は短期的には客単価の減少による収益低下をもたらしたが、消費者の意識を再びマクドナルドへ向けさせることに成功した。

その後も順次24時間営業化や地域別価格などの新施策を実施、顧客層の拡充と来店率向上に結び付けてきた。華々しい新商品投入だけではない、こうした地道な取り組みの後押しで、「自社内の商品競争に陥ることのない商品開発」戦略は開花した。

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