マンション修繕費問題「ドローン」が救う納得の訳 人手に頼ってきた点検・維持管理をDX化する技術

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2004年に制定された屋外広告物条例ガイドラインでは、広告物の許可期間は3年を超えることはできないとされており、2016年のガイドライン一部改正で、許可の更新申請のときに広告物の劣化や損傷などの点検結果の報告を義務付け、新たに「屋外広告物の安全点検に関する指針(案)」を作成した。今回の事故も、安全点検への対応を怠ったことが原因の可能性がある。

2000年4月時点で、許可対象の屋外広告物は約29万3000件(電柱の貼り広告も含む)で、うち点検対象となっている割合は約94%。47都道府県と148市町村の地方公共団体が安全点検報告書の提出を義務付けており、未提出で許可が更新されないまま表示を続けると罰則の適用もある。国交省に報告があった事故件数は、2018年55件、2019年34件、2020年25件と減少傾向も見られるが、台風の大型化に対応した安全管理対策も必要だろう。

大きな事故が発生するたびに規制が強化

既存建築物にも、法定点検制度がある。建築基準法の第12条で定めている特定建築物を対象とした「定期調査・検査報告制度(以下、定期報告)」で、いわゆる「12条点検」と呼ばれるものだ。

特定建築物とは一定規模以上の劇場、観覧場、商業施設、児童福祉施設、病院、旅館・ホテル、学校、オフィスビルなどで、マンションも東京都の場合で5階建て以上、住居部分の床面積の合計が1000平方メートル以上が対象に含まれる。外装タイルなど外壁の劣化・損傷状況は3年ごとに、共用部分の建築設備・防火設備は毎年点検し、特定行政庁(建築指導主事を置く地方公共団体)に報告する義務があり、報告未提出や虚偽報告には罰金(100万円以下)も科せられる。

定期報告も、火災などの大きな事故が発生するたびに規制が強化されており、2005年には民間施設だけでなく公共施設を対象に追加。2008年には、外壁からのタイル剥落事故などがたびたび発生したため、3年ごとの目視調査に加えて、竣工・外壁改修から10年を過ぎた最初の調査で、人間が壁を点検棒で叩いて音で診断する「全面打診」などによる調査が義務づけられた。

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