日本株が一時急落したのは中国恒大のせいなのか 「中国版リーマンショック」はやって来るのか

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その債務が一部でも返済不能になると、銀行からの融資が不良債権化する、社債がデフォルト(債務不履行)に陥る、などの問題が生じよう。だが、同社向けに融資を行なっている企業が、「理財商品」と呼ばれる金融商品の形で投資家に貸し出し債権を転売しており、そうした商品への投資家も打撃を受けるだろう。恒大が直接投資家に理財商品を売って資金調達した、との報道もある。

加えて、恒大の債務の約半分が買い掛け債務であるとのことだ。取引業者から恒大が建築資材などを購入した際に、その代金を後日支払うとしている額が買い掛け債務に相当する。もしそうした買い掛け債務までが毀損すると、一般事業会社にも直接悪影響が及ぶだろう。

恒大は見せしめになるのか

中国政府は、恒大そのものの救済はするまい。最近の中国政府の動きの背景には「共同富裕」があるようだ。つまり、中国の一般庶民は「IT企業やその経営者はぼろ儲けしてずるい」「株式や不動産への投資家は濡れ手で粟とばかりに儲けてずるい」「お金持ちで子供を高級な塾に入れ、高学歴を得させる家庭はずるい」といった怨嗟を抱いている。

政府はそれに応えて、さまざまな産業を規制し叩こうとしている。すると、恒大だけではなく、ほかの不動産企業も巨額の負債を抱えているが、それで破綻しても“見せしめ”とし、庶民の留飲を下げることを優先するだろう。

23日には恒大が中国元建て社債の利払いを行なったと報じられたこともあり、24日にかけて主要国の株価は持ち直した。だが、同日に期限が来たアメリカのドル建て社債の利払いは行われていないようだ。そもそも、そうした目先の利払いを乗り切っても、これから次々と利払いや償還の期限を迎えるため、安堵するのは早計すぎる。

しかしながら、中国経済全体が混乱することは、中国政府も望んではいまい。このため、必要であれば中国人民銀行が流動性(現金)を潤沢に供給するなど、マクロ的な景気対策は打ち出されるだろう。

つまり、中国政府は産業規制を次々と打ち出しても、経済全体は何とか支えられるという自信を持っているようだ。ただ、それこそが「自信過剰」であって、経済運営に失敗するリスクは否定できない。

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