高田明の声はなぜ高い?本人が教える話術の秘密 ジャパネット創業者「うまさだけではダメ」

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──テレビはどうでしょうか。

テレビは言葉だけではない。自分の立ち居振る舞いや表情も要素に加わってくる。

たかた・あきら/1948年生まれ。父親が経営する「カメラのたかた」入社後、86年に分離独立し、「たかた」(現ジャパネットたかた)を設立。ラジオ・テレビ通販に参入し、大手通販会社に成長させた。2015年に社長の座を長男に譲り退任。同時にA and Liveを設立

皆さんがテレビで俳優さんを見て、「ああ、優しそうだな。優しい話し方をするな」と思う場合、それは作った優しさではなく、その人の本質がにじみ出ているためだと思う。テレビは言葉も加えて、自分のすべてをさらけ出していく世界だ。

実はラジオも「見えている」というのが私の持論である。「見えるって何?」と思われるだろうが、リスナーは心の目で聴いている、見ている。

ラジオ番組の人気パーソナリティーは言葉の発し方、言葉遣い、相手を思いやる言葉などに気を配っており、それをリスナーがきちんと感じ取る。パーソナリティーの心の動きを想像しながら、楽しんでいる。

ラジオでそうやって完璧に聴くということは、もう見えることと同じ。リスナーは全部お見通しなのだと思う。本質的にはテレビもラジオも同じ。テクニックだけでは通じない。

声が高いのは「自分の言葉で伝えたい」気持ちから

──聞き手の気持ちになって、その頭の中に絵を描くように話す「お絵描き話法」で評価されています。

伝えるということは、相手がいてこそ成り立つ。相手の気持ちや人の心を感じる力が自分にないといけない。今のコロナ禍において、疲弊している、商売ができない人たちがたくさんいる。そんな人たちの心情を置いてきぼりにしては、本当に伝えたいことは伝わらない。

たとえ話し方がうまくてもダメだと思う。これは商売でもどんな世界でも同じ。伝えるというのは、親が子どもと向き合うのと同じように、相手を感じる心を持っていなければいけない。

私は声のトーンがとても高いと言われてきた。何で高かったのか、自分の七不思議の1つなのだが、結局は一生懸命伝えたい、自分の言葉で伝えたいという気持ちが勝っていたのだと思う。

相手を感じる心を持ち、何を伝えるかということを自分が理解しておかないと、伝えることはできない。私たちの通販では、商品の性能、使い方を徹底的に知り尽くす。そのうえで何を選択するかが勝負だ。生半可な知識では絶対に伝えられないので、インプットにものすごく時間をかける。

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