ただし、今回のエミー賞レースではアップルだけが主役だったというわけではありません。動画配信サービス時代を決定づけるものでもありました。主要部門で作品賞を飾ったドラマはすべて動画配信サービスオリジナル作品だったのです。ドラマシリーズ部門とリミテッドシリーズ部門はどちらもNetflixオリジナル。日本の『渡る世間は鬼ばかり』のような家族間のゴタゴタ劇として楽しめるイギリス王室ファミリー物語『ザ・クラウン』がドラマシリーズ部門のベストを飾り、スポ根少女コミックのような世界観があるアニャ・テイラー=ジョイ主演のチェスプレーヤー成功物語『クイーンズ・ギャンビット』がリミテッドシリーズ部門のベストドラマに輝きました。
また主要部門のひとつにあるバラエティースペシャルドラマ部門の作品賞はディズニーの動画配信サービスDisney+の『ハミルトン』が獲得しました。ブロードウェイ・ミュージカルを映像化したもので、今や全世界の加入者数がNetflix、Amazonと並ぶ勢いあるDisney+のオリジナル作品も手堅いところを見せたのです。
Netflixがエミー賞史上初の単独1位
さらに、主催のアメリカテレビ芸術科学アカデミーが発表したスタジオ別の受賞獲得数をみると、動画配信サービスの強さが改めてわかります。Netflixの44受賞がダントツ。これは過去47年間、アメリカ4大ネットワークのCBSのみが保持していたエミー賞の年間最多受賞数に並び、Netflixとしてエミー賞史上初の単独1位に立った記念すべきものにもなりました。
続く2位はHBO/HBO MAXの19受賞、3位はDisney+の14受賞、4位はApple TV+の10受賞となり、5位にようやくテレビネットワークのNBCが登場し、8受賞を獲得しています。
わずか9年前までは動画配信サービス発のオリジナル作品がエミー賞にノミネートされることもなく、既存のテレビ局が当然のように受賞を果たしていたわけですが、すっかりその風景は様変わりしています。日本から遠い国で行われる賞レースの結果を注目することすら限られていましたが、主要部門で受賞した作品を何年も待たずに、多くの国で今すぐ視聴できる環境も整っています。世界で制作されるドラマ全タイトルのうち、動画配信発のドラマが占める割合は年々増え、2021年は3割まで伸びています。
アップルの『テッド・ラッソ』もそんな流れに乗ったドラマです。シーズン2が2021年7月23日から配信開始され、シーズン1以上の高評価を得ています。オアシスやブラー、クィーンなど懐かしのUKロックも満載です。9月にはiPhoneなど新製品が発売されたばかり。Apple TV+の会員数の増加もアップルは期待しているところではないでしょうか。
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