職場のモンスター 金子雅臣著

職場のモンスター 金子雅臣著

衝撃的なタイトルに違わず、具体例を交えた興味深いトラブルエピソードが並ぶ。本書の大半が著者と、「モンスター」と称される社員、または彼らに手を焼く会社側との問答形式で進むので、読みやすい点も魅力だ。

東京都の労働局で労働相談を専門にしてきた著者ならではの切り口といえるだろう。

採用から一カ月で社長に抗議文書を提出した26歳の男性。この会社は雨宿りだから、と法スレスレで独立準備を進める31歳のビジネスマン。内部告発を履き違え、個人中傷を流す29歳の男性など、それぞれのモンスターぶりには確かに驚かされる。

そして、対応に戸惑う上司の苦悩もまた深い。両者とも一定の価値基準に従って行動しているのだが、「働く」ことに対する感覚のズレがあり、それは滑稽な印象さえ与える。

お互いが初めに感じた違和感が日に日に大きくなり、何かが少しずつズレていく。そして、著者の元に駆け込んだときには、もう元には戻らないところまで来てしまっているのだ。

もちろん、そんな取り返しのつかない事態にならぬよう、後半ではモンスターたちの頭の中をタイプ別に分析している。

“ここではないどこか”に自分らしさを求める「自分探し世代」という定義をしているが、彼らを理解するためには--という短絡的な提案はしていない。

醒めていると思われがちな自分探し世代も、実は仕事を通じた“アツい”関係に飢えている。そこで試されているのは、むしろ上司の方だ、とくぎを刺しているのだ
問題社員の一人が発する「私がモンスターなら、会社は妖怪ですよ」というセリフ。決して苦笑いだけで済まさぬように、ということか。

(フリーライター:小島知之 =東洋経済HRオンライン)

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