パナソニックの株主総会、事業モデルの”パラダイム転換”を強調
「2010年3月期の最終損益は1035億円の赤字。経営を預かる者としては非常に遺憾な結果で、誠に申し訳ありません」−−。
25日、大阪城ホールで開催されたパナソニックの第103回株主総会の冒頭、大坪文雄社長は深々と頭を下げた。続けて「今11年3月期は最終損益の黒字転換を必達目標にする」と宣言した。
経営戦略の説明では、事業モデルのパラダイム転換を強調。グローバル市場の深耕や市場拡大するエナジー事業へ比重を移行すること、家電を中心とした単品ビジネスから顧客ニーズに合わせて複数の自社商品を組み合わせて売るシステム・ソリューション型ビジネスを強化していくことなどが挙げられた。
質疑応答では、とりわけグローバル化へ向けた人材強化や組織のあり方を問う株主が目立った。
「役員の英語力はどの程度ついているのか」という質問に対しては、大坪社長が「多くの役員は英語ができる。むしろできない人を探すのが難しいくらいだ」と胸を張る場面もあった。「女性役員が誰もいない現状は国際的にも通用しないのではないか」という質問もあったが、「まだ女性役員はいないが、女性登用にはかなり力を入れており、2000年比で女性の管理職・リーダーの数は44倍に増えた」(人事担当の原田雅俊常務)と説明した。
途中、(経営が混迷する新生銀行の社外取締役を兼任する)高橋弘幸氏の社外監査役選任をめぐって一部株主が厳しい調子でその適格性を問い、一時騒然となった。一方で、パナソニックが大株主である「ガンバ大阪」所属の遠藤保仁選手が、開催中のワールドカップの対デンマーク戦で得点したことに大坪社長が触れると、会場から拍手が湧いた。
今総会には3564人の株主が参加。これは、同社にとっても過去最高の出席者数だという。韓国企業に苦戦を強いられているパナソニックだが、その今後に寄せる株主の期待の高さが改めてうかがえた。
(西澤 佑介 =東洋経済オンライン)
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