JR西「500系」新幹線、なぜ今も圧倒的人気なのか スピードとスマートさを追求した斬新デザイン

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以後、500系は山陽新幹線の新大阪―博多間を走る「こだま」と、博多―博多南間の運用に充てられる。編成は16両から8両に短縮され、独特の翼型のパンタグラフはシングルアーム方式に変更、最高速度は時速285kmに落とした。廃止されたグリーン車は、2席がけが2列となった指定席6号車の座席に名残を留めている。

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今や山陽新幹線で最古参となった500系だが、「こだま」としてただ余生を送るばかりではない。2015年11月にはアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」をイメージしたラッピングの「500 TYPE EVA」がデビューして話題を呼んだ。

エヴァ新幹線は山陽新幹線全線開業40周年と新世紀エヴァンゲリオンのテレビ放送開始20周年を記念したコラボ企画。エヴァ初号機のような外観で、内装は座席や通路、喫煙室など隅々までエヴァの世界観を再現したほか、博多方の先頭車(1号車)に“実物大コクピット”を設置。のちに「渚カヲル」の声による車内自動放送が加わった。

衰えない500系の人気

この大胆なプロジェクトは予想以上の人気を博し、運行期限が当初の2017年3月から2018年5月まで延長された。続けて2018年6月にはピンク色のリボンをまとった「ハローキティ新幹線」が登場しており、世界的な知名度の人気キャラクターとのコラボで、沿線への集客に大きく貢献してきた。

京都鉄道博物館に展示されている500系。断面が円形なのがよくわかる(記者撮影)

京都鉄道博物館では「JR西日本を代表する車両」として、同形式の現役車両が活躍中にもかかわらず、本館の建物に入って真っ先に目に付く“一等地”に521形1号車が展示されている。こちらも特別展に合わせて、営業列車と同じくエヴァやハローキティ仕様に模様替えするなどコラボ企画で盛り上げてきた。

登場から20年を過ぎても色あせないデザインで抜群の人気を誇る500系。JR西日本社内にも思い入れが強い社員は多い。導入時の性能試験などに携わった博多総合車両所総務科の藤崎大介係長は「いまでも子供たちからの人気が高いのが私たちの誇りです」と胸を張る。

ライバルの航空機のような円筒形の車体のために客室内は決して広くなく、最新の新幹線車両のように各座席に電源コンセントが付いているわけでもない。ビジネス利用には少し不満が残るかもしれないが、スピードとスマートさを追い求めた当時の設計思想は、いま山陽新幹線「こだま」ののんびりした旅で味わうことができる。

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橋村 季真 東洋経済 記者

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はしむら きしん / Kishin Hashimura

三重県生まれ。大阪大学文学部卒。経済紙のデジタル部門の記者として、霞が関や永田町から政治・経済ニュースを速報。2018年8月から現職。現地取材にこだわり、全国の交通事業者の取り組みを紹介することに力を入れている。

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