"iPhone 6"リーク情報に欠けているもの これはスマホの今後2年を占う重要製品である

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アップルの新製品への期待が高まるのは、今、スマートフォン業界全体が迷宮へと入り込もうとしているからでもある。スマートフォン市場の変調を象徴する数字として、いくつかのメーカーの決算を引用したい。たとえば、ソニーの第1四半期決算は業界トレンドの今後を指し示す、示唆に富んだ内容だった。

ソニーのXperiaシリーズは、もっとも多くの経営資源・開発資源を投入して作られている最重要製品である。ところが、今四半期の販売見通し5000万台に対し、4300万台と大幅に下回ることが発表された。

モバイル事業の営業利益も芳しくなく、前年同期に126億円の利益を出していたのに対し、今期は27億円の赤字に転落した。年末商戦も含む通期の損益も260億円の黒字を見込んでいたものをプラスマイナス0円に下方修正している。

理由は中国や中南米といった新興国での売り上げに見込み違いがあったためだ。こうした市場は急速に端末の低価格化が進んでおり、誰もが憧れるような上位製品でブランド力を創り、それを中位モデル、下位モデルへと伝搬させる戦略は利用できない。

躍進する中国系メーカー

この状況を、ソニーは次のように自己分析している。「特に低中価格帯製品が、新興国で苦戦した。要因として、(新興国)市場の伸びが想定を下回ったことや、中国系メーカーの躍進に押されたことが大きい」。昨年、欧州、日本においてXperiaシリーズのハイエンドモデルで成功を収めたものの、そのXperia Zシリーズが持つイメージを中位モデルへと吹き込み、新興国での売り上げ増へとつなげる戦略が破綻しているのだ。

ソニーは「見誤った」としているが、すでにあった市場の厳しいトレンドを、「自分たちが全力投球した製品なら超えられる」と過信したのではないだろうか。価格が安い割に性能の高い台湾メディアテック社などのチップセットを搭載した、シャオミ、レノボ、クールパッド、ZTEなどの中国系新興ブランドは2012年ごろから、その姿を現していたが、開発プラットフォームが熟成してきており、デザインや質感を重視したオッポなどの新興ベンチャーも人気を集めるようになってきた。

ソニー以上に影響を受けたのがサムスン電子だ。かつてサムスンが世界ナンバーワンを獲得したのも、Galaxy Sを上位モデルとして鍛え上げながら、下位モデルとして、お買い得かつ上位モデルの”残り香”を感じさせる製品を並べることで数をさばくことができたからだ。

しかし、それだけに中国系メーカーの躍進がサムスンに与えた影響は大きかった。第1四半期のサムスンは、すでに報道されているように前年同期比で24.6%ものマイナス。その最大の要因はスマートフォンとタブレットを中心としたITモバイル部門で、営業利益は31.3%の大幅減となった。主因として挙げられているのは、やはり中国市場での大不振である。

サムスンは慌てて中位以下の製品機能/性能を底上げするなど、製品ポートフォリオの刷新に取り組んでいるが、それだけではうまく行かないだろう。なぜなら、かつての成功の方程式は崩れている上、サムスンが得意としている市場を中国メーカーが奪ってしまったからだ。

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