"iPhone 6"リーク情報に欠けているもの これはスマホの今後2年を占う重要製品である
次世代iPhoneがどのような端末になるかは、スマートフォン業界全体にとっても、重要な意味を持つ。
スマートフォンから巨額の利益を得てきたサムスン電子が急失速した後だけに、アップルが同じ轍を踏まずに済むのか、が焦点だ。次世代iPhoneは、アップルの未来を示唆するものでなければならない。以前ならば「世界でもっともイノベーティブなエレクトロニクス企業のアップルは、サムスンの躓きとは無関係」と話す声も聞かれたかもしれないが、アップルもまた、イノベーティブな企業ではなくなりつつあるためだ。
「イノベーティブではなくなった」・・・それをもっとも痛感しているのは、アップル自身だろう。今年6月、アップルは開発者向け会議「WWDC」でパソコン用基本ソフトとスマートフォン/タブレット用基本ソフトの新バージョンの概要を発表したが、いずれも現在もっとも洗練された基本ソフトである現行バージョンを地道に改良したものだった。
もちろん、地道な改良を重ねることは悪ではない。実際、個々の改良は悪くないのだ。しかし、以前のように毎回の発表が驚きへとつながり、それまでの生活を一変させるような時代は変わった。発表内容を聞くだけでワクワクできる、そんな夢のような季節はすでに終わっている。
「鮮度の高さ」を示せるか
とはいえ今回のiPhoneにおける改良点が、デザインや質感の変化、新たなセンサーの搭載、画面サイズの変化といった、ハードウェアデザインと性能、スペックを変えることぐらいにとどまり、「鮮度の高さ」を示せなければ、アップルは徐々に苦戦を強いられるだろう。もちろん、2013年よりも市場が大きくなっていることから、単一商品としては、過去最大の売り上げ台数になるかもしれない。しかし、スマートフォンは先進国における成長が鈍化し、新興国が主戦場になりつつあり、アップルは必ずしもここで成功していない。そうした市場における主役は、グーグルのAndroidだ。
Androidは洗練度において、まだまだiOSへ追いついていない。しかし、安定度は増してきている。iPhoneから「鮮度の高さ」が失われれば、たちまちAndroidを採用するスマートフォンに、市場の主導権を奪われるだろう。だからこそ、アップルは今回、新たな成長軸、他社との差異化を目指して、新たな要素を付け加えていく必要がある。
すなわち、8月の今現在までに判明している情報が、本当に次期iPhoneの注目点なのだとしたら、アップルの快進撃がいよいよ止まり、これからは衰退に向かう前兆だ。「自分たちが支配力を発揮できるようになった市場では、守りに入り、イノベーションを起こせない」とのイメージは、いよいよ決定的になるだろう。
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